乱れているのは彼女のスカートの中だけだった。端から見れば、俺たちはただ抱き合っているようにしか見えないだろう。いや、ここまで互いに欲情を晒していれば、やはり気づかれてしまうだろうか。

「、なまえってば…たまんねェくらいヤらしい顔、してくれちゃって」
「…っちが…、ぁ、」

 ベッドに座る俺の上に膝をたてて乗りながら、俺を飲み込もうとするかのように粘膜を触れ合わせるなまえの瞳は、最早焦点を結んでいなかった。
 とろりと溶けた焦げ茶の中にぼんやりと俺を映し、僅かに唇を噛みながら、華奢な肩を震わせる姿は卑猥以外の何物でもない。

「…やっぱこの体位だとなまえの顔が良く見えていいわ」

 とんでもなくエロい顔をした彼女が、服を殆んど乱さないまま俺の上に乗っている。それがなんだか堪らなくて、彼女の頬に指を這わすと、俺の言葉にきゅっと眉を寄せた彼女は顔を隠すようにくたりと俺の首筋に顔を埋めた。

「は、…ァ……っ」

 なまえの熱い吐息が鎖骨の辺りにあたって擽ったいような、焦れったいような。何かを堪えるように俺のシャツを掴む細い指がやけに可愛らしい。
 片手で彼女の耳の裏を撫でながら、もう片方の手をスカートの奥に滑り込ませ、触れ合った粘膜の縁をなぞると、なまえはびくんと背筋を反らせた。指先にひくひくと蠢く女のそれを感じて、鳥肌がたつほど興奮する。

「…はは、すげ…どろっどろ」
「っふ、…ぅ、〜っ」

 俺の声に反応も返せないほど追い詰められているなまえ。その喉から絞り出される甘く掠れた悩ましい声。切なげに寄せられた眉と、とろりと溶けて潤んだ瞳。
 反応しきった下半身の先を彼女の秘部にあてがえば、どちらものとも分からない体液でぬるりと滑る。そのままぬるぬると擦り付けると、目の前の肩が小刻みに震えた。

「っ…ぁ…それ、やぁ、っ」
「…うん?…じゃ、どうして欲しい?」
「っ…は、…虎徹、さっ、…れて…」

 その瞳に俺を映しながら、羞恥すら快感に変えて従順に唇を戦慄かせるなまえの理性は、俺の予想以上に崩れ去っていたらしい。そんななまえがあまりに可愛いから、ついつい彼女を虐めてやりたくなる。聞こえねえぞ、と彼女の耳に意地悪く囁くと、彼女は今にも泣き出しそうな顔になった。

「こ、…てつ、さん…、いれ、て……っぁ、んんっ」

 イヤらしく懇願しながら、なまえが俺のものに手を添える。そのまま固定するようにそれを支えて、自ら腰を下ろし始めた彼女に俺は思わず唾を飲んだ。
 畜生、なんて光景だ。俺にそんなものを見せつけて、お前、俺をどうしたいわけ。悩ましげに眉を寄せて、感じいるように目を閉じて、赤い唇からは熱い吐息を零して。服を着たまま、スカートの中をぐちゃぐちゃにして俺を受け入れている、なんてそんなの。

「っ、…ちょ、なまえ…」
「ァ…ん…こてつ、さ…っ」
「…それは、…やべ、って」
「ん…っあ、や、も、イっちゃ、」

 そうして俺を深いところまで受け入れて、その奥まで届いた瞬間、きゅうきゅう締め付けて達しちまうなんてそんなの、狡すぎるだろ、なあ。

不道徳の飴を舐めたの
20120712

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