乾ききっていなかった髪の先からぽたりと水が滴ると、その下にあった白い肌がぴくりと微かな反応を示した。バスローブの中で極めて女性的なラインを描く彼女の肢体はほんのりとピンクに色づいている、ように見える。

「…なまえ……」

 名前を呼んで頬に触れると、なまえは甘えるように首に腕を回してきた。ふわりと香る甘い匂いにそっと笑いながら空いた手で細い腰を撫で、唇を合わせて控え目に舌を吸う。

「ん…、っは…」

 合間合間に漏れる吐息が容赦なく腰に響く。彼女の声は本当に媚薬のようだ。ゆっくりと唇を離せば名残惜し気な表情を見せてくれて、スラックスの下はいとも簡単に張り詰めた。自覚もなくそういう顔を見せるのはいただけないと思う。
 普段はすましたような、凛とした顔をしているクセに、僕の腕の中ではこうもとろとろに溶けている。全くなんて可愛らしい生き物なんだろう。

「…キスだけでイイ顔し過ぎじゃないですか、?」

 そう意地悪く笑ってから、緩慢な動作で唇を指の腹で優しく撫で、首筋を下へと辿り、胸の谷間、臍へと順番に滑らせる。彼女の身体はどこもかしこも信じられないほど柔らかくて、肌蹴たタオル地も、堪えるような細い息を吐き出す顔も、どうしようもないくらいセクシーだった。

「それとも…そんなに気持ち良かったですか、僕とのキスは」

 可愛い反論を期待した軽い冗談のつもりが、反論どころか恥ずかしそうに身体を赤く染めるその姿に僕の方が煽られて。もっと恥ずかしがっているところが見たいと、加虐心が騒ぎだす。

「…ねえ、自分で、分かります?」
ほら、すごく濡れてる…。キスだけでココ、こんなにしちゃったんですね。…ふふ、いやらしいな。

 そうやって少しずつ陵辱することが、彼女の感度を高めるのだと知っていた。指先で下着の上から秘部をなぞると布がぬるりと滑り、じんわりと湿り気を伝えてくる。そのまま下着越しにぬるぬると擦れば、染みてきたそれがとろりと糸をひいた。
 弱い刺激に白い足はゆらゆらと揺れて、訴えるような目が僕を見ている。ああもう、いつだって優しくしたいと思っているのに、貴方がそんな顔をするから。

「っゃ、バーにぃ…、っ」

 そんな声で、呼ぶから。

「…ね、なまえ…自分で脱ぐのと僕に脱がせてってお願いするの、…どっちがいいです?」

 ああ、彼女のこの柔らかい部分に飲み込まれたい。埋め込んで、刻みつけたい。そんな欲望が強すぎて、僕は彼女との距離が上手く測れなくなっていた。愛しさの分だけ彼女を虐めたくなってしまうのだ。
 沸き立つ本能のまま布越しに指を浅く埋め、円を描くように引っ掻く。びくびくと内腿を震わせた彼女に、僕はせめてもの理性でその目尻に溜まった涙を舐めてやった。

内緒で吐息を混ぜてみた
20120119

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