俺の中に眠っていたはずの生々しいまでの雄を、なまえがずるずると引き出していく。それを止める手立ては最早なかった。

「ふ、ァ…、虎徹さ…っ」

 濡れきった可愛い声で呼ばれる自分の名前が、際限なく欲望を刺激していく。頭がおかしくなりそうだった。
 普段の清楚さからは想像もできないなまえの淫らな姿。圧倒的な卑猥さだ。彼女がどんなふうに男を誘うかなんて、きっと俺しか知らないだろう。いや、違うな、俺以外にそんなことを知っている野郎がいるなんて許せない。

「…っあ、や、そんな、奥…っ」

 あの薄っぺらい合成物質がないだけでこんなに変わるモンだったかと驚くほどに、年甲斐もなく必死のセックスをしている自覚はある。それほどまでに、生身で交わる感覚は衝撃的で、魅惑的で。
 本当は緩慢な動きで彼女をもっともっと焦らしてやりたいのに、あんまりにも彼女のナカが熱くて、キツくて、馴染むから、そんな余裕はどこか遠くへ逃亡していた。

「いやァ?…嘘吐け、奥、好きなクセに」

 これ、もしかして俺、動かなくてもイけるんじゃねえかと思いながら、なまえの身体の裏側まで届くような勢いで腰を動かせば、彼女の目尻に涙が浮かんだ。それを指でそっと拭ってやるのと同時に、俺がなまえを泣かせているんだという罪悪感と、優越感にも似た何かが胸をじわりと熱くする。
 けれど、なまえの白い肌と自分の指先の浅黒いコントラストに腰がむず痒くなって、どくりどくりと下半身に熱が集まっていくのを止めることはできない。なあ、お前の身体ってなんでこんなに滑らかで、白いんだ。

「、ぁ…っ〜…あ」
「ん、く…っ…なまえ…、なまえ…っ」

 好きな所を思い切り突かれて、絶頂が近いらしいなまえ。胎内の締め付けの間隔が狭まるのを感じる。薄く口を開けて酸素を取り込もうとする顔を眺めながら、俺は力加減を忘れて腰を振った。
 外に出すよう我慢するはずだったのに、直接感じる粘膜があまりに気持ち良過ぎて。俺は初めてセックスをする餓鬼みたいに、やばいと思った瞬間には既に堪えきれず欲を吐き出していた。

「、…あー……やべ、」

 快感に埋もれた頭が回復して、特有の倦怠感をじんわりと味わう。意識を飛ばしているらしいなまえからずるりと引き抜いたそれは、白い液体でどろどろになっていた。
 急激に冷静さを取り戻していく脳内で、事態の処理をどう行うか、どうにか算段をたてる。よし、なまえの目が覚めたら、彼女の好きなミルクティーでも準備して、怒られる前に謝ろう。

閉じられる聖書
20111009

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