前戯は十分すぎるほどにした。これで彼女の身体にかける負担は少なからず軽減されるだろう。本来ならばベッドに倒れこんだ瞬間にでも挿れて、掻き回してしまいたいのをここまで堪えてきたのだ。もう 限界だ

「なまえ、いい、ですか」
「ん、…っ」

 弱々しい肯定の喘ぎを聞きながら痛いほど張り詰めた熱を取り出して、薄いゴムの膜で覆う。先端から溢れる先走りがヌルついて少し恥ずかしかったが、彼女にはそれに気づく余裕はないだろう。
 僕と彼女を隔てるこの物質は、いくら技術が進歩したところで薄くはなっても零になることはない。もしかしていつか、それ自体を必要としなくなるような日が来るのだろうか。なんて、以前の僕には思い浮かびもしなかった思考だ。よく知りもしない女の、よく知りもしないぐちゃぐちゃなところに自分の性器が直接触れるなんて耐えられないと、以前は本気で思っていたのだから。

「……なまえ…、」
「は、…バーナビー…っ…」

 そんな馬鹿な思考を頭の隅に追いやり、ぬるり 焦らすこともできずにあてがったそれは、いとも簡単に彼女のナカへと飲み込まれいった。
 強請られたキスを落としながら、ゆっくりと待ち望んだ感触に酔う。細胞の内側が、異様に熱い。うねるような粘膜を押し分けて腰を進めると、僕のかたちに合わせて内壁がいやらしく蠢く。まるで別の生き物のように、僕を包み込む。

「っ…は、なか、あっついな…」

 全部を奥まで沈み込ませて、きゅうきゅうと締め付けられる堪らない感触に大きく息を吐き出す。なまえが手のひらに力を込めるせいで、整っていたはずのシーツがどんどんとぐしゃぐしゃによれていくのが目の端に映った。

「ア…ぁっ、それ…っや、」

 全部押し込んだ、その上で彼女の腰を自分の方へ引き寄せ、さらに繋がりを深くする。そうして奥に押し当てたまま軽く腰を揺すると彼女は泣きそうな声をあげた。
 僕の律動から逃れるように細い足で空を蹴り、本能に身体を震わせるなまえに僕はごくりと喉を鳴らす。ほかでもない自分が、彼女に代えがたい快感を与えているというこの現実が堪らなかった。

「って、言ってるわりに良さそうです、ね…っ」
「…あ…、ふ…ァっ…」

 彼女の内側に自身が馴染み始めたところで、揺らす動きから突き上げるような動きへと変化させる。もちろん彼女の腰は固定したままだ。互いの呼吸音と下半身から聞こえる水音だけが、世界を支配していた。

「……っ…く…」

 そして僕の下半身を、何度感じても慣れることのない強大な甘い衝動が襲う。
 けれど僕は、笑えるほど心地よいこの行為には終わりがあると知っていたので、込み上げた吐精感は噛みつくようなキスと共に殺すのだった。

どうせ僕らは一つじゃない
20111008

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