「…ん、…ァっ」
「……そんな目で僕を見たって、やめませんよ」

 眼鏡を外した翠色の瞳はいつもの理性を剥かれたように本能的だ。獣のような色を露わにして、結局のところ目の前の兎の方が、虎徹さんなんかよりよっぽど捕食者なんじゃないだろうか。

「っ…ば、…っなびぃ…」
「…ああそれとももしかして、もっと、って言いたいんですか?」

 くしゃり、彼が密かに自慢に思っている金髪の巻き毛を、私の指先が無遠慮に乱した。けれどそれでも、私の脚の間に頭を埋め込んだ彼は楽しそうに太腿の奥を舐めるだけなのだ。
 本気で抵抗したって敵いっこない、しなやかに鍛え上げられた肉体。唇の隙間から除く赤い舌。恍惚の色で私を射抜くグリーンアイ。彼の纏う怖いくらいの色気に、肌が泡立つ。

「…僕、女性のここを舐めたいなんて思ったの、なまえが初めてだな…」

 その顔で、そんなところで。唇を濡らしながら、ファンが聞いたら卒倒するような卑猥な台詞をしみじみと言わないで欲しい。彼の唇が音を発する度に敏感な芽や奥の子宮が細かく揺れて、大きな快楽の波を作り出していた。
 ねえ、だってこんなのはずるい、反則だ、卑怯だ、私は喘ぐことしかできないっていうのにそんな言葉だけで私を感じさせるなんて。

「ぁ…っひ…ぅ…っ」
「ねえ、気持ちいいです?」
「ん、だめ…っあ、ア」
「…ふふ、すごい、どんどん溢れてきますね」

 ああ、もう全てがぐちゃぐちゃで、抗えない濁流に全てが呑みこまれそうになる。思考回路も、指先で器用に押し広げられながら舌先に探られているそこも。
 粘着質な音の合間に時々聞こえるくぷりという空気の音に、鼓膜まで溶かされかけている。必死で首を振っても、彼にはその手を止める気が全くない。

「っや、も…おかしくなっちゃ、ァ、」
「いいですよ、…僕だけが見ていてあげますから」
…ほら、おかしくなってみせて…?

 バーナビーが、子供みたいに嬉しそうな顔でそんなことを言うものだから、私の身体はカッと中心から熱くなった。そんな無邪気に、こんなにいやらしいことをしている彼が、私の興奮を益々煽る。
 貴方に夢中で、もうこんなにおかしくなってるのに、その傍若無人な舌先で、指先で、私のなかを探って、貴方は何を見つけたいの?これ以上私をどうしたいって言うの、 

楽園の地図を引き裂いて
20110919

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