彼はいつも余裕そうな顔をして、私の身体をいいように蹂躙する。けれど、例えば優しくキスをするとき、彼がなんだか泣きそうな顔をしているのを私は知っているのだ。

「ん……っば、なびぃ…」

 切なげに熱い息を吐き出すその顔に堪らなくなって名前を呼ぶと、バーナビーの綺麗な顔が少し歪んだ。それでも、彼は私を焦らすのを止めるつもりはないらしい。恥骨を密着させて繋がったまま、バーナビーは動かない。
 眉を顰めながらそれでも口元だけは笑みをたたえる彼の、羨ましいくらいに綺麗な白い肌を、ゆっくりと雫が伝う。セクシー過ぎるその情景に私は意図せず彼の熱を締め付けた。

「ァっ、ゃ、あ、」
「いや、って。…あなたが勝手に、締め付けたんですよ、」

 揶揄するような言葉を吐きながらも、普段人より体温が低いはずの彼から、肌を通して隠すことのできない熱が伝わってくる。全身がじわじわと染み入るように熱く、互いの汗が滲んで混じり合っていくのを感じる。

「ァ…バーナビー、っはやく、」

 私の中を貫いている彼の存在を感じとって、子宮の奥がずくりと疼く。そのたびに、ただ彼の存在を嫌と言うほど知らしめられて、堪らない気持ちになる。僅かに上半身を屈めた彼の、熱く濡れた舌先で優しく首筋を舐め上げられると、私の我慢や羞恥心は、随分と簡単に決壊していった。

「…早く、…何ですか?」

 彼はこうして、私によく恥ずかしいことを言わせようと強請ってくる。そんな確認なんて必要ないくらいに、私は元からバーナビーが欲しくて仕方ないのに、この男はそれを分かっていないのだ。だからこそ、こんな泣きそうな顔で瞳を揺らしながら、確かな言葉を懇願するのだろう。
 私はそんな彼が好きで、愛しくて、欲しくて。

「…っ早く、奥に、欲し…っ」

 懇願と同時に、彼の手に絡めた指先に力を篭める。それを優しく握り返してくれるバーナビーに心臓が痛くなって、そっと触れるだけのキスをした。どくんと質量を増したバーナビーに思わず漏れた声が甘ったるすぎて恥ずかしい。
 虚をつかれたような顔をしたバーナビーがふっと笑って、ずっと奥の方へと腰を進める。そのまま、中の感触を確かめるように彼が腰を揺すりだすと、痺れるような快感が足先まで駆け抜けた。

「ァ…あ、はあ、ん…っ」
「っは…そんな泣きそうな顔、卑怯ですよ…」

 ねえ、貴方がそんなふうに顔を歪ませながら、必死で欲しがるのは、世界中で私一人だけなんだって 少しくらいは自惚れてもいいかなあ

役立たずの迷い子
20110914

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