快楽を嫌というほど教え込んだ彼女の身体は、もうほとんど僕の思うままだった。どこにどのくらいの強さで触れれば彼女が甘い声を出すのか、無意識でもわかる気がする。

「ぅァ…っあ…」
「あ、…いい締めつけ…」

 何度目なのか、もう数えてもいない彼女の絶頂に、自身がきゅうっと締めつけられる。
 皮膚に感じる吸い付くような粘膜の感触をしばらく味わってから抜き差しを再開すると、敏感になったなまえの腰が淫らに揺れた。彼女の腰は細く頼りなくて、いつも一体そのどこに僕のイチモツを銜え込んでいるんだろうと不思議に思う。

「っや…バーナビ…っ、も、やめ、」

 喘ぐ彼女の声が痛々しく掠れているという事実は、確かに微かながら良心を揺らがせる、けれど。そんなモノは、僕の背筋を這う言いようのない雄の欲に勝るはずがないのだ。
 僕の服を掴む細い指先が白くても、噛み締められた色のいい唇が白くても、やめてなんてあげられない。汗に湿ってうっすらと光る彼女の肌があまりにも綺麗で、その口から漏れる声があまりにも甘いから。

「…やめられるものなら、とっくにやめていますよ、」
「ぅ…ふァ、んっ…」

 皮膚の内側に渦巻く理解し難い衝動を言葉にすることができない。ただ、胸を焦がすような生々しい何かが僕を酷く追い立てている。

「声、抑えないで…」
「は…ァっ……」

 ───こんな感情は、知らない。
 僕の知らない僕を次々暴いていく貴方をこんなにも泣かせたい。僕以外、誰も知らないような彼女の奥にまで入り込んで、白い欲を叩きつけたい。僕の我慢が続く限りに貴方をぐちゃぐちゃにしたい。
 ああ、これが愛だというのなら、それはなんて残酷で魅惑的な事実だろう。

「ひァ…っ!、っん、ふ」

 指で探ったイイ所を熱の先端で抉った瞬間、零れた悲鳴。恥ずかしいのか自分の口を塞ごうとする細い腕を片手で取り払い、ベッドに縫い付けると涙に透けた瞳に僕が映った。
 それでも声を抑えようと唇を噛み締めるなまえに少し苛立って、胎内に沈めた腰をぐるりと掻き回せば、彼女はもっと泣きそうな顔を見せる。

「隠さないで、もっと聞かせて…もっと見せて」
「っァ…バーナビぃ…っ」

 止まれない本能。役に立たない理性。もうこれは、全部全部貴方のせいだ。

真っ赤な十字架を下さい
20110915

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