ぐしゃぐしゃになったシーツがずるりとベッドから滑り落ちる。二人の体液で湿ったそれを、私はぼんやりと眺めていた。
 私の体力はとうの昔に底をついていて、もう身体には思う通りに力が入らなかった。彼は基本的に、セックスというものがかなり過激なスポーツであるということを解っていないと思う。もしくは、自分と私の体力差というものを正しく勘案できていない。

「…はぁ、っ、は、」

 下半身は繋がったまま、いつの間にか硬度を取り戻した彼のモノに私はどうにか呼吸を整える。息を吸い込む度に喉がぴりぴりと痛んだ。
 甘ったるい笑みを浮かべて官能的な汗を滲ませているジーノに、止まってくれる気配は微塵もない。それどころか彼の熱はその質量をじわじわと増しているようにさえ感じられる。

「…休むのはまだ早いんじゃない?」
「え…ひァ、ゃ…っ」

 何度か私の中に欲を放ったはずの彼は、それでもまだまだ元気いっぱいらしい。彼の熱に好きなように掻き回されて、朦朧とした頭では数え切れないほど達していた。
 気持ち良さを通り越して最早息苦しささえ感じているのに、内壁は勝手に蠢いては絡みつき、彼のカタチや温度を伝えてくる。本能とは全く恐ろしいものである。私の身体はもはや私の理性のいうことを聞いてはくれないようだ。

「…っや、も…、無理…っ」
「ふふ…大丈夫だよ、」

 力の抜けた身体をいいように揺さぶられ、疲れきったはずの神経が無意識に甘い刺激を拾い上げていく。徐々に大きくなる快楽を持て余した私は息を止めて震えた。

「…だって、腰を動かすのは僕だろう?」

 王子と呼ぶにはあまりに卑猥な言葉を、彼は簡単に口にする。それでも、鼓膜を濡らすその甘美な声は王子の気品を失うことはないのだから不思議だ。
 そうして、不埒なことなど何も知らないかのような綺麗な笑顔で、彼は私を追い詰める。至近距離にあるビー玉のような瞳だけが、ケモノのような欲の色を見せていた。

「ぁ…っジーノ、っ」

 力の抜けた膝を抱えられ、より深くまで抉られると、下腹部にぎゅうと力が入る。内臓を押し上げられるような圧迫感と、内側を擦られる快感。
 止まない水音と、時折鼻を掠める彼の甘い匂いに酔わされていく。力なく腕を伸ばした彼の首筋は想像以上に汗ばんでいて、火傷しそうに熱かった。

「そう、…なまえはただ、僕を感じていればいいんだよ」

軋む絵本に横たわる
20110910

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