「上、乗れよ」

 欲しいんだろ?…なら自分でいれろ。
 俺の口からは、そんな残酷な言葉がいとも簡単に零れた。我ながらなかなかのサドぶりだと思う。ただし罪悪感とかそんなものは一切感じていない。
 散々に溶かしたなまえの理性は、きっともう機能していないんだろう。なまえは虚ろに溶けた目で俺を見る。是とか否とか、彼女には最早そんな思考回路もなさそうだ。

「、は…持田、さん…」
「…早くしろ、」

 ベッドの上に座ったまま、少し強めの口調で促せば俺の上にゆっくりと跨ってくるなまえ。緩く勃ち上がった俺のものに頬を染め、膝立ちのまま無意識に腰を震わせる目の前の肢体はその辺のビデオなんかよりずっとエロかった。

「は、っん…、」

 少しして、俺が本気で自分から入れる気がないことに気付いたらしいなまえは、ほんのりと上気した顔で切なそうに俺を見る。
 それでも俺が動かずにいると、なまえは我慢出来ないというように腰をずらし、躊躇いがちに俺の熱と粘膜を触れあわせ始めた。その仕草さえいちいちエロいもんだから、俺の中心にはいとも簡単に血液が集まっていく。

「……なあ、そうやってるだけでいいわけ?早くしねえと俺、このまま出しちゃうけど」
「っ…や、ァ…っ」

 腰を揺らすだけで一向に俺を受け入れようとしないなまえの胸に、そろりと手を伸ばしてその先端を爪で弾く。なまえは面白いほど大袈裟にびくんと身体を揺らした。
 それを切欠に彼女のなけなしの理性はそこで遂に途切れたらしく、なまえは小さく喘ぎながらも腰を下ろし始めた。ぐちゅんと先端が飲み込まれた瞬間、下腹部に震えが走る。

「…っは…エロ、」
「んん…っ、ァ、あ」

 ずぷずぷと自分で俺を飲み込んでいるクセに、制御できない声をあげるなまえ。中に入れてしまえば俺が動くとでも思っていたのか、なおも動かない俺を快楽に溶けた不安げな顔で見下ろしている。
 無防備に感じる顔を晒し、俺だけに縋り、助けを請うような表情が、堪らなかった。

「…何?」
「っも…持田さ、…」

 そんななまえに笑みを返して、俺はまた残酷な言葉を吐いてやる。

「まだ全部入ってねえよ」
「…も、…っムリ、」

 羞恥が許容量を超えたのか、水晶体から水分を落とす彼女に俺が更に欲情したのは言うまでもない。普段の清楚な様子からは想像できないような妖艶さと零れる涙がどこかアンバランスで、つくづく彼女は俺を煽るのが上手いと思う。
 この女を滅茶苦茶に抱いてしまいたいというそんな単純な性欲が、なまえへの歪んだ征服欲を超越していった。

「…しょうがねえな、」
「っ〜…あ!ぁ、や…っ」

 それなりに我慢の限界だった俺は、彼女の腰を押さえつけて思い切り突き上げた。なまえの奥の奥まで届くように腰を振り、悲鳴にも似た嬌声を上げる彼女を強く抱き込んで、気付けば俺の口端は上がっていた。

脳髄を揺らす恍惚
20110831

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -