なまえを前にすると、セックスを覚えたばかりの思春期のガキみたく内側が燻って、行為に歯止めがきかなくなる。どうしようもなく溢れて文字通り止まらなる欲望に、まだまだ俺も青臭え雄なんだと自覚せざるをえない。
ゆっくりと身体を馴染ませ合うようなセックスだって知らないわけじゃないし、彼女とそういうセックスをしてみたいと思うのは本心なのに、身体が言うことを聞かなくなるのだ。
「〜…っは、…ァ」
何度体位を変えたか分からないほど何時間もぶっ通しで行為に及んだせいで、全身が痺れるように重い。部屋に満ちている性の香りも噎せ返りそうなほどに濃厚だ。
それでも尚、俺は腰を揺すり続けていた。後ろからの律動に合わせてもれるなまえの声は最早吐息に近く、時折零れるまともな声すら熱っぽく掠れている。それが自分のせいだと思うだけでなまえのナカに埋めた下半身の熱が上がるから、本当、しょうがねえ身体だ。
「…っ…、なまえ…?」
「ん…、…っ」
意識すら半分とびかけているはずなのに、名前を呼ぶとぴくりと反応するその健気な様子が愛おしい。焦点の合わない瞳は俺を映しているのかどうかさえ危うかった。
そろそろ眠らせてやれ、なまえが壊れちまう、と脳の隅がぼんやりと訴える。けれど、そうして意識のある限りなまえを貪りたいという自分の貪欲さを責めながら、彼女を本当に壊してみたいとも思うのだ。
「…、なまえ、ほんと可愛い、な…」
「ふ……っ…ぅ、」
「…っ、銀サン、どうにかなっちまいそうだよ…」
かり、となまえの耳を口に含んで甘噛みして、ナカがきゅうきゅうと締めつけてくるのを合図に知り尽くしたなまえの弱いところを遠慮なく突いていく。
深くまで身体を沈めるように、なまえの腰を掴んで後ろからぐっと引き寄せ、先端に他とは違う感触を感じると、その奥にこの欲を流し込みたいと背骨がざわついた。
自身を覆う人工の膜が邪魔で仕方がない、けれどそれだけが、この獣じみた行為に残る最後の理性のようにも思える。
「…ん、ァ、っ…」
「は、っ…やっべ、溶けそ…、」
ふと気づけば眼下に広がる白い背中には赤い痕が散らばっていて、所々にはキスマークですらない噛み痕があった。キスマークが独占欲の表れだというなら、きっとこれは異常で、まさに俺の本性なのだ。
なんて、まあ、そんなことはどうでもいいか。もう、なまえのことしか考えたくない、考えられない。
「…、…っ、…ぁ…!」
「……は、ァ…、っく、…」
全ての無駄な思考を快楽に押し流すように、俺は夢中で腰を振る。一際大きく腰を打ち付け、彼女の身体を押さえつけたまま射精すると、自分の口から上擦ったような声が漏れて、それが少し恥ずかしかった。
心臓が窮屈でした
20110915