僕のスラックスに手をかけ、何故だかやんわりと勃ち上がりかけていた僕のそれに、躊躇うことなく顔を近づけたなまえさん。何をするんです、と薄い肩を押し返した僕に向かって、イイコト、と妖艶に笑った彼女の顔を僕は一生忘れないと思った。
「っ、…っなまえさ、ん、っぁ、」
なまえさんはまず、下着の上から形を確かめるように指で僕のそれを撫でた。そうして硬度を増した熱を取り出し、ぺろりと見せつけるように先端を舐めた舌の赤さが、まだ目に焼き付いている。
汚いです、と譫言のように訴えても、楽しそうな上目遣いが返ってきただけで。自分の口から漏れる酷く甘ったるい声が恥ずかしくて堪らないのに、的確に与えられる快感のせいで身体には力が入らない。
「ゃ、めて、…何、」
「ふふ、きもちいでしょ」
始めて味わう口淫の快楽が、全ての神経を痺れさせているようだった。粘膜の温かさと蠢く舌の刺激が堪らなくて、ぞくぞくと腰の辺りを這いずるむず痒さが、解放を求めて中心に集まっていくのが分かる。
「っ、なまえ、さん…っ出ます、から」
自分でも早過ぎやしないかと思ったが、堪えようもなかったから、顔を離してくれと彼女の肩に添えた手に弱々しく力を籠めた。
けれど、そんなもので引き下がる彼女ではない。なまえさんはあろうことか僕の根本を輪にした指で締め付けた上で、ワザとらしくじゅっと音を立てて先端を吸った。
「あ…っ、く、ぅ、」
「ふふ、まだ出しちゃだめー」
その悪戯っ子のような言い方が僕の中の何かを煽る。すっかり怒張した下半身の先から透明なものが滲み出る、その度に彼女が音を立ててそれを吸い取る。繰り返されるその遊びは、欲を吐き出せない僕にとっては最早拷問のようなものだ。
「なまえさ、も、お願いですから…っ」
身のうちを焦がす快楽に耐えきれなくなった僕が、恥ずかしさを堪えて懇願すると、なまえさんはどこか満足気に笑って見せた。その子供っぽい顔と、やっていることのイヤらしさが対照的過ぎて、もう僕はどうしていいか分からない。
再び僕の股間に顔を埋めた彼女が尖らせた舌先で先端を抉る、と同時に僕を戒めていた彼女の指が離れて、
「あ…っ、ぅ、あ…!」
僕はどうしようもない声をあげて、彼女の口内に射精した。びくびくと痙攣しながら、何度かに分けて吐き出されたそれを、なまえさんがこくりこくりと飲み干していく。
口の端からは飲みきれなかったらしい白いものが垂れていて、凄まじい快楽から引き戻された僕は酷い罪悪感に苛まれた。
「あ…っごめんなさ、い…大丈夫ですか、」
なのに彼女が、そんなの気にも止めないように「いっぱい出たねえ」なんて言って笑うから、そのいっぱい出したはずの下半身がまた熱を持ち始めて。
「ふふ、まだ足りないんだ、バーナビー君は可愛いなあ」
「、っゃ、もういいです…っ」
「なんで?ホラだって、全然足りてないみたいだし」
僕はそんなに性欲の強い人間だったのだろうか、それとも、彼女が余りに男を刺激し過ぎるのだろうか、なんて答えを探す余裕もなく。優しくて意地悪な手のひらに包み込まれたら、もう助かる道も見つけられそうにない。
子供はもう眠る時間です
20120626