虎徹さんの肩を必死になって押し返しても、彼の身体はビクともしない。何がどうしてこうなったのか説明を求めます。
 私はただ虎徹さんの家で彼の帰りを待っていただけで、待っている間にちょっとソファで眠ってしまっただけで。こんなふうに乗っかられて、襲われるような心当たりは全くない。

「ちょっと、」
「男の家で無防備過ぎんのは感心しねェぞー」
「ばか、や…っ、ストップ…!」
「あー、無理無理、オジサン火ィ点いちゃったから」

 何が無理だ、何がオジサンだ、と心の中で毒づきながらなんとか腕を突っ張って虎徹さんから身体を離すが、彼の手は未だ私の服の中。
 止まることなく肌を滑る熱い手の平にぞくりと疼く身体を叱咤し、虎徹さんを睨みつける。けれど、ワザとらしく押し付けられた彼の股間に私の方が怯んでしまった。

「…なまえちゃんが相手してくんないと、オジサンこれ自分で処理しないといけないんだけどォ」
「な、…そんなこと知らないよ、」

 腕をまとめて取り払われて、しまったと思ったときにはもう遅い。頭の上で完全に自由を奪われてしまった両手首は、虎徹さんの片手にすら全くもって適わないのだ。
 彼の吐息は明らかに欲情していた。つられるように、全身が優しく熱を持っていくのが分かる。

「知らないってこたないだろ、…ん?」
こうなったの、なまえのせいなんだからさ…。

 そのまま耳元で掠れたような熱い声。絶対私がその声に弱いって分かっててやっている。質が悪い、そう思って唇を噛んでも、柔く耳殻を食まれれば口からは甘い息しか零れなくて。口に手の甲を押し当てると自分の吐息がどれほど熱く湿っているかがわかった。

「…っは、…ん、」
「…そーいうのも逆効果だっての、」

 たくしあげられたブラジャーの下で虎徹さんが胸元に吸い尽く。指で立たせるように摘まれた胸の先端を舌で舐められると、どうしようもなく身体の内側が沸騰した。
 いつもそうだ。これ以上されたら自分はおかしくなってしまうんじゃないかと、いつも、少しだけ怖くなる。怖くなって、彼に縋って、本当に頭がおかしくなるまで乱されて、何にも考えられなくなって。

「ァ、…っふ…」
「なまえはこうされんのも、好きだよなあ?」

 かり、と先ほどまで舌が這っていたそこを今度は爪で引っ掻くように刺激されて、ずくりと下腹部が疼く。もう片方の胸は何度も軽く歯を立てられて、喉からは小さく甘い悲鳴が漏れた。ああ、ダメだもう、その先が欲しくて堪らない。

「や…ァっ、虎徹さ、」
「…まーだイヤ?」
「っ違、…も…っ下も、触って、?」
「、っ…あーあ、…」

 やーらし、と嬉しそうに囁かれたって、抵抗も反論ももう出来やしない。

飛び降りるのも悪くない
20120207

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