「リヴァイ…っ、ほんとに、も、…無理…」
「…だらしねえな、」
私の弱音をあっさりと切り捨て、彼はぐい、と更に腰を奥へと押し込んだ。鈍い痛みと、その中に感じる目眩さえ覚えるほどの快楽。なんて暴力的で、容赦のない男だろう。
「んァ、っ…や、も、…やめ、っ」
「…却下だ」
「っあ…っん、」
「…声がでけえ」
そう言って唇を押し付けられて、身体の内側でのたうつ熱を逃がす術さえ奪われる。そのまま彼の指先が立体機動のベルトの痕を滑るようになぞって、時折、手入れの行き届いた短い爪をたてられるとぞくりと背骨が震えた。
ふと目が合って、彼の欲情した瞳に喉が引き攣る。中毒だ。こういうのを中毒というんだろう、こんなにもお互いに依存している。もう十分なのに、こんなにも足りていない。満たされているのに、こんなにも飢えている。欲しくてたまらなくなる。
「ん…っはあ、ぁ、」
「…トぶなよ」
そう言って彼はギリギリのところまでゆっくりと腰を引く。内壁がずるずると引っ張られていく感覚に背骨が反った。空になった部分が欲しがるようにうねり、物足りなさに痙攣する。
「ぁ、…っや、だめ、待って、」
「俺は待ての出来る犬じゃねえんだ、…悪いな」
悪いなんて微塵も思っていないような顔をして、彼はそのまま私の脚を持ち上げ、自身を一息に押し込んだ。ごり、と音でもしそうなほど強く奥を抉られて息が詰まる。
リヴァイの腰の動きに合わせて、渇れそうな喉から自分のものとは思えないような声が出る。ついさっき声が大きいと言われたのを思い出して口に手をあてると、自分の吐息がどれだけ濡れているのか嫌でも分かった。
「…んん…っは、ん、っ」
「…邪魔だ」
彼は不満そうな顔でその手を引き剥がし、そうしてやっぱり私の唇を塞ぐ。なんて自分勝手な男だろうと思っているうちに舌を引っ張り出されて、絡め取られて、ただでさえ酸素が足りていないのに余計に息が続かなくなる。
もうもたないと彼の肩を叩こうとしたところで唇が離れたかと思うと、必死で酸素を取り込む私を彼は優越感たっぷりといった様子で眺めている。鍛え方が足りねえな、と呟く彼の僅かに楽しさの滲んだ声色が私の胸を締め付けた。
「っ、はあ、…リヴァイ、っ」
私は真っ白な頭で、刈り上げられた彼の後頭部を誘うように撫でてもう一度キスを強請る。瞬間、彼の瞳が獲物を狙う飢えた獣のように私を射抜いて、ぞくりと背骨が震えた。
ああ、欲しくてたまらない。こんなにも本能に身を任せる瞬間を、彼だけが与えてくれるのだ。
触れた先は灰の楽園
20140510