冷めることの知らないこの熱を、俺はいつまで彼女に与え続ければ満足できるんだろう。果ての見えない仄暗い欲望をひたすらなまえの胎内に吐き出して、吐き出して、吐き出して。それでもまだ、足りないんだ。

「銀、さ、っァ…も、…無理、っ」

 なまえの声は痛々しいほど掠れていたし、シーツの上の身体は力なかった。もう何時間この身体を苛めたか分からない。数え切れないほど、彼女の中にも外にも射精して、彼女だってそれ以上に何度も絶頂を迎えているだろう。
 無理は承知だ。酷なことを強いているのも分かっている。ただしそれはただ「分かっている」というだけで、どうしてか俺に止まろうという気は起きなかった。きっとそれは、結局分かっていないのと同じことなのだ。

「…無理、ねえ…」
「っ…あ…ぅ」

 思案するように零した言葉に、何故か微かに安堵の表情を浮かべるなまえ。おいおい、やめてやるなんて銀サン一言も言ってねえぞ?

「まあ、なまえが無理でも、銀サン、知ーらね」

 熟知した熱い粘膜を奥まで突けば、びくびくと揺れる華奢な腰。それを無理矢理シーツに縫い付け、子宮の入り口に欲の先端を押しつけて。そのまま胸の突起に吸い付き時折強めに歯をたてる。散々弄ったそこは赤く腫れ、唾液が光ってイヤらしかった。
 なまえの顔を確かめようと少し視線を上げると、仰け反った首に映える赤い痕が見えて、ちゃちな独占欲が僅かにだけ満たされる。彼女のこの綺麗な身体に痕を残していいのも、もちろん触れていいのも、世界中で俺だけだ。

「んっ…ぎんさん、」

 後頭部にまわった弱々しい手が俺の髪に柔らかく差し込まれ、胸元に俺を押し付ける。結果自ら刺激を強請るようになったそれは彼女自身は無意識だろう。
 なまえが助けを求めるように縋った先は、正真正銘、彼女を追い詰めている張本人だ。馬鹿だなあと内心で笑いながらも縋られたことが嬉しくて、愛おしくて、煽られて。やはり終わりは見えなかった。

「…っは、とりあえず…もっかいイってみっか、」
「や…っあ、ア…、っ」

 ぐりぐりと、出し入れせずにただ奥を擦る。繋がった部分の少し上、ぬるついた小さな突起を優しく引っ掻いてやればなまえは勢いよくシーツを蹴った。
 強張る爪先が微かに浮いているのを見ながら彼女の膝裏に手を差し込み、遠慮なく持ち上げた白い脚。絶頂が終わらないままに更に深くを突き上げられて、なまえが声にならない悲鳴をあげる。

「、あー…気持ちいいなあ、なまえ?」

 白い腿に柔らかく食い込む手の平が浅ましい、と。そう思いながらも俺は、彼女を気絶させずに、あと何回この欲望を吐き出せるかを考えるのだ。この衝動を突き動かしているのはほかならぬ彼女なのだから、責任はしっかりと取ってもらわなければ。

倒錯した脊髄を侵す
20110731

BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
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