突然だが、俺には好きな人がいる。
特車二課第一小隊隊長、南雲しのぶ。
仕事に真面目で、警察官である事にプライドを持っている。
隊員だけで無く犯人にまで命令形で話す彼女はとても凛々しく、かっこいい。
だが、そんな彼女も鬼ではない。
それ以外ではとても女らしい話し方をする。
ああ、一度で良いから罵られてみたい…ってのは内緒にして、今日、しのぶさんの机にラブレターを置いておいた。
もちろんプレゼントも。
あ、言っておくけどこれ告白じゃないからね。もう大人な関係だからね。
んな訳で、俺は更衣室に隠れて様子見。
ガチャリと音がして、しのぶさんが来た。
「…あら?」
気づいた!
荷物を置く音もする。
だが、それきり音がしない。
音がするといっても、自分の心臓の音だけ。
すると、足音が近づいて来て、更衣室の前で止まった。
「…後藤さん…これ本気?」
ばれてたか。
「うん。もちろん。本当だよ。本気に決まってるじゃない」
動揺を隠し、平然とした声で言った。
出るに出れなくなったこの状況をどうしてくれようか。
すると、更衣室のドアが空いた。
「後藤さん…」
「しのぶさん」
見つめ合う二人。
しのぶさんと見つめ合うの、久しぶりだなあとか内心思いつつ、真面目に見つめあった。
「こんなの、断るわけないじゃないの」
そう言ってしのぶさんは呆れた顔で笑った。
その瞬間弾かれた様に体が動き、しのぶさんを抱き上げた。
軽い!
こんなに軽かったっけ?
「ち、ちょっとちょっと後藤さんっ」
「しのぶさん!好きだ!」
抱き上げながらくるくると回る。
にやけてにやけて仕方ない。
気分が弾んで、しのぶさんしか見えなくなりそう。
ふわりとしのぶさんを降ろして、抱きついた。
「ありがとう。幸せにするからね」
「…ばかね」
とっても嬉しい。
初めてしのぶさんに送った手紙は、たったの二行。
『楽しいことも、辛いことも俺が1番に聞くからさ。結婚しよう』
fin