「いやー面白かったー!」
「凄かったわね、あの告白」
今日は久しぶりにしのぶさんとデート。
朝から家まで迎えに行って、そのまま映画館。
仕事が仕事なので、レイバー物や警察、陰謀物の映画は無し。
凄く迷ったが、結局見たのは洋画のラブコメディー。
主人公カーリーは何しても失敗する女の子で、ある日テレビのインタビューを受けていた男性に一目惚れしたのだが、この広い世の中出会えるわけもないと諦めかけた時、隣りにその男性が引っ越してくるという話し。
映画館を出て、ショッピングモールをぶらつく。
ご飯どうしようかとか、この服しのぶさんに似合いそうとか話しながら歩いていると、不意にしのぶさんが立ち止まった。
「しのぶさん、ここ行きたいの?」
ゲームセンターだった。
中からはいろんな音が混じり聞こえてくる。
「あまり来た事ないから、どんな所だろうなって思って」
「入ってみようか」
しのぶさんの手を引き、ゲームセンター内へ入って行く。
中はまあまあな人で、機械の熱と人の熱気でやや暑かった。
メダルコーナーを抜けるとプライズコーナー、子供が遊ぶ所があった。
メダルコーナーには競馬やパチンコ、あとはよく分からない物ばかり。
プライズコーナーはクレーンゲームにフィギュアやぬいぐるみ、タオル、キャラクターのコップなど実に様々なものが入っている。
「あら、これイングラムね」
「本当だ。へぇ、意外に人気あるじゃない」
特車二課、第二小隊に置かれているイングラムのフィギュアがプライズ商品として出ていたのである。
初耳。いやぁ初耳。
「商品化するほどの人気度だったのね」
「さぁ、晒し者扱いかもしれないわよ」
「しのぶさんのいじわる。ね、欲しい物ある?取るよ」
財布を取り出し、近くにあった両替機でお札を崩す。
しのぶさんの表情が少し明るくなり、まわりを見渡している。
可愛いよねえ、その姿。
「そうねぇ…イングラムも良いけど…あれにしようかしら」
うさぎの抱き枕が入ったプライズ機を指差した。
桃色のうさぎと白色のうさぎで、胴が長い。
プライズ機に近づくと、真空パックにされ、二つ折りにされた桃色のうさぎがセットされていた。
今日日直取りのぬいぐるみはとても少なくて、ぬいぐるみが乗ってる台へと紐で結ばれたプラスチックの板がスーパーボールの上に乗っていて、それを落とすとぬいぐるみも落ちるという仕組みの物が多い。これも同様だった。
「しのぶさんってさ…」
「何よ」
「たまに凄く可愛い一面見せるよね」