「しーのぶさんっ」

後藤はにこにこしながらしのぶがいる布団へ潜り込む。
しのぶはすり寄ってきた後藤の頬を撫でようとしたが、少し後藤から離れた。

「やだ、酒くさいわ」

思わぬ拒否を受けた後藤は、そうかなぁ、と言いながらさらに擦り寄った。

「しのぶさん、すき」

「…酔ってるのね、もう寝たら?」

「えー酔ってなんかないさ。ボクが酔ってるのは、しのぶさん」

そう言ってしのぶの頬にくちづけをすると、しのぶは呆れた顔をし後藤を見た。
後藤は顔を真っ赤にさせ、ヘラヘラとわらっている。
風呂から上がりたての彼は、髪すら濡れたままだった。

「十分酔ってるじゃない。ほら、起きてって…んんっ」

起き上がろうとしたら、後藤が抱きついて覆いかぶさり、唇を奪った。
舌を絡め取られ、完全にされるがままだった。
ようやく解放され、しのぶは口を拭った。

「こんなにどこで飲んできたのよ…」

「え?いやぁ帰りが松井さんと一緒だったからさ、ちょっと飲んだだけだよ。いーっぱいしのぶさんの事のろけちゃったもんねっ」

この馬鹿、と内心思ったしのぶだが、呼吸を整えながらある事に気づいた。
床に無造作におかれた彼の荷物。
その中に花束が落ちていた。
その中にプラカードが刺さっており、それを読んだしのぶは、ため息をついた。

(自分も少し晩酌が過ぎたかもしれない)

「しのぶさん?」

「後藤さん、今日はできない日だから、このまま寝ましょう」

「はあい!しのぶさんのおっぱいにうずくまって寝るからいいもん」

「馬鹿言ってないで寝なさい」

完全なる酔っ払い、後藤喜一を叱りつけ、南雲しのぶはどこか嬉しい気持ちでいっぱいに眠りにつくのだった。
プラカードには、

『いつもいつもお疲れ様、明日も頑張ってちょうだい』

とかかれていたのだった。



fin
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