どうして事後はいつも、頭が回らないのかしら。
乱れたベットの上で、ぼんやりとそう思う。
後藤さんはガウンをはおり、タバコを吸っていた。
そのタバコも、ようやく短くなり役目も終えた。
後藤さんは灰皿にタバコを押し付け日を消すと、こっちをみてきた。
「しのぶさん、お酒でも飲む?」
「ええ、貰うわ」
「キスしてくれたら渡す」
「ばか」
そうは答えたものの、私は目を閉じた。
あまりにも疲れた事もあるけど、もう少しこの余韻を味わっていたい。
すると、方をトントンと叩かれた。
目を開ければ、そこには後藤さん。
後藤さんは私の上に覆いかぶさると、くちづけを求めてきた。
それに答えると、何だが唇が冷たかった。
その時、後藤さんの手が後頭部にまわり、唇が離せなくなった。
そして、後藤さんの唇から、冷たい液体が流れ込んでくる。
「っ!?」
お酒だった。
何とかして飲み込むと、後藤さんやっと解放してくれた。
「びっくりした…」
「キスしてくれたら渡すっていったじゃないの」
いつもの笑顔で、そう答え私にすり寄ってきた。
「口移ししたかったんだよね」
「聞いたらいいじゃない」
「断られるかもしれないからさ」
「…後藤さん」
「なに?」
私は後藤さんの頬に手をやり、言った。
「口移し、してあげましょうか」
あらあら意外。
後藤さんの顔がみるみるうちに赤くなっていく。
そんな彼をベットに残し、私はお酒を取りに冷蔵庫に向かった。
「しのぶさんには勝てないわ…」
後ろから、そんな声が聞こえた気がした。
fin