「クルルさぁんっ。最近変わりましたね」

「んあ?なんだぁ?」

ある日、モアはクルルの隣に座りに、にこにこして言った。
クルルは面倒くさそうに眉間にシワをよらせる。

「なんだかぁ、クルルさんのお肌がつやつやです!それに、なんだが丸くなって、その変わりようは、恋する乙女のようです!」

「…ク、そうかよ」

クルルはモアの純粋無垢な視線を受け止めながら、内心少し焦っていた。
ひねくれ者のクルルには、純粋なモアの視線が苦手なのは周りも知っているとおり。今回はそれに加えて何故か自分を見透かされていることに対して内心焦っていた。

「あ、でもでもぉ、特に変わったのはお腹!少しぽっちゃりしてきましたねぇ。カレーですか?っていうか、生活習慣?」

モアが指摘しているのは、日頃のクルルの不摂生。夜通し機械の修理や開発、プログラムを組んだりしている。
その度にお菓子の袋を開け、糖分摂取のためにジュースを飲む。日中はカレー三昧。食の偏りや、カロリーが高いものを食べているため、体重が増え、脂肪が増えた。
それは確かにクルルも自覚していることであり、出来れば察して欲しくない所だった。

「…大丈夫だ。自分でダイエット器具作るからよォ。それよりお前、この事内緒に」

「ダメです!」

「!?」

クルルの言葉を遮り、モアは身を乗り出した。
クルルは怯み、やっぱりこいつ苦手だぜぇ、と内心思う。

「クルルさんはいつもいつも機械機械!危ないですよ。クルルさんにもしもの事があったら私…」

「…?」

「おじさまに顔向けできません!」

「…………」




ーーーーーー



「で?この服は?ケロロビクスでもやるのかァ?っていうかよぉ、お前何で、その姿なんだよ…」

1時間後、そこにはエアロビクスで着るレオタードを着て、額には黄色いバンダナを締めたクルルと…

「えへへー。この格好も久しぶりです!」

本来の姿に戻ったモアがいた。

「さぁ始めますよおー!では、そこの台に寝てください」

「……何で俺がこんな」

何故か無下に断れないクルルは、ため息を尽きながら台の上に寝転がった。

「っていうか本当に何するんだァ?」

「行きますよぉ〜。ハルマゲドン!1万分の」

「ちょっと待てお前!」

「?どうしたんですか、クルルさん」

クルルは自分の腹に星をも消し去るハルマゲドンを落とそうとしたモアを止めに入る。
モアは不思議そうにクルルを覗き込む。

「お前っ!俺を殺す気か!」

「ええ?そんな事しませんよぉ。モアはただ、クルル先輩の脂肪の活断層を刺激して、脂肪を無くそうとしただけですよお?ハルマゲドンで」

「1万分の1って死ぬだろうがよ!」

「?そうですかあ?」

モアは残念な表情を浮かべた後、何かを思いついた様にクルルに話しかけた。

「じゃあこれならどうですか!?」

「ほにょ!?おまっ、こええよどこに連れてくんだ!」

むんずとクルルを抱き上げ、ある部屋にポーイと投げ込んだ。
目の前には、赤色だが同じレオタードを着ているギロロの姿。
そして感じる、室内温度の異常。

「!?お前これ!いつ!」

『クルルさぁん、室内温度35度設定オッケー。あと、ケロロビクス、ギロロさんのホログラム準備おっけいです!目標設定、ケロン軍推奨ウエイト!スタート!』

モアはにっこりしてケロロビクススタートのボタンを押す。
このプログラムは大昔クルルが作ったもの。
ケロロ、ドロロ、ギロロの3人のケロロビクスをスキャンし、ホログラムにしたもの。物質化しており、怠けているやつがいると…

『何をやっとる貴様!さっさと立たんか!ケロロビクス!始めるぞ!』

「ぐえっ」

胸ぐらを掴まれ、無理やりやらされる。
時には電撃や実弾が飛んでくる。
難易度は優しい方からケロロ、ドロロ、ギロロの、順番であり、ペナルティの度合いのみ変わってくる。
それに加え室内温度を高温設定にすることにより、より一層のダイエット効果が得られ、激しい運動により筋肉もつく。
今では本土の肥満の兵士向けに、ケロン軍が採用している。
ちなみに、目標設定が達成されるまで、ここから出られない。
作った本人もだ。

「ひ、ひゃぁあああ!」

「クルルさんっ。レッツ、エクササイズです!ていうかぁ、新陳代謝?」






レッツエクササイズ!
(お、クルル、芋が焼けたんだが、食うか?…?クルル、お前痩せたか?というか、やつれたか?)
(しばらくあんたの顔はみたくねぇ)
(!?)





ーーーーーー

『メタボリックoh!ハルマゲドン』聞いてたら思いつきました。


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