ムカつく。ムカつく。
誰がって、あの赤い髪の地球人のメスがだ。
おっさんを振り回してんじゃねーよ。
今日もギロロ先輩はでれでれして、腑抜けになっていた。
ちっ、つまんねー。
隊長が欲しがっていたガンプラを片手に、隊長の部屋をノックして入る。
「ゲロォ!?クルル、外行ってたの?地球人スーツで?」
「ああ、ちょっとな」
そう、さっきまで俺は今地球人スーツを着て、外に出ていた。
「…クルルのスーツ姿、お似合いであります!ん?その袋は?」
「ああ、これだろ?隊長が欲しがってたやつ」
「…?はて、何でありましたかな」
黄色い袋を隊長に渡し、その場に座る。正確には地球人スーツが。
隊長は袋の中身を見ると、目を輝かせ、俺にしがみついてきた。
「クルルありがとうであります!」
「クークックック」
中身は、この前破壊された、ガンプラ。
隊長がとびきり大切にしていたやつと同じ方だ。
隊長はギャアギャア騒ぎながら、部屋中を駆け回った後、ピタリと止まって俺を見てきた。
「はて、でもどうしてこれを我輩に?」
「さぁな。素直に受け取りなァ」
隊長は何かを察したように、にっこりと笑った。
「…大切にするであります。それより、ギロロとはどうなんでありますか?」
あー、おっさん。
「…あれから音沙汰無しだせぇー。ククッ」
あれからとは、隊長が施行した、『仲良しこよし条例』の事。
あの曖昧な返事から一週間音沙汰無し。会話も、目を合わすこともない。
「まぁ、いいんじゃね?」
「ゲロォ…」
ビーーーッ
ビーーーッ
そんな時、つんざくような音の警報音が鳴り、隊長のドアが爆風と轟音と共に粉々になって吹っ飛んだ。
「ケロロ!今すぐ外を見ろ!ケロン軍だ!」
噂をすれば何とやら。
『緊急事態緊急事態!日向家上空に、レーダー反応有り!ケロン軍、ガルル小隊です!あ!ガルル中尉、日向家侵入しました!』
クークックック、本日もアクシデントで楽しいぜぇ。
ギロロ先輩はミサイルを常備し、隊長のドアへと向ける。
隊長は何故か床に正座。
俺はそのまま。
ドアがあったところから、紫色の足が見え、顔が見えた。