それからと言うもの、俺はやってきた猫が満足そうにハムを頬張る姿を見ながら、ぼんやりと考えていた。
あれからというもの、夜になってもあいつは来なかった。まぁ、当たり前か。
あいつは俺に好きと言った。
残るは俺だけ。俺があいつに好きといえば、この気色悪い条例から解放される。
問題は、どう好きと言えばいいのか。
そして、昼間の発言。

「ニャー」

「ん、食べたか。ちゃんと水分取ったか?」

「ニャン」

喧嘩するほど仲が良い。
地球のことわざか。
まぁ、確かにあいつも真面目なところはある。
ケロロの命令は聞くし、本部からの特別任務とやらを真面目にこなしたのも知っている。
そして汚れ役もかってでる嫌な奴。
俺は、あいつの事が好きだったから目についてイライラしてたのか?
とりあえず、あいつの元へ行くか。

「すまん、ちょっと地下に行ってくる」

「ニャー」

俺は猫の頭を撫でてから、テントを出た。
もう11月も終わりかけ、冬の寒さになりつつある。
部屋にあがり、ケロロの部屋を開ければ何故かそこにはドロロがいて、書道をしていた。

「ギロロ君。こんばんはでござる」

「お前ここでなにしてるんだ」

「待っていたのでござるよ。ギロロ君を」

筆を置き、ドロロはにっこりと笑った。

「俺を?」

俺はドロロの近くに寄り、座ろうとした。が、ドロロは慌てて止める。

「座らなくていいでござる。すぐ終わるゆえ。ドロロ君、クルル殿の所に参るのでござろう?」

「ああ、そうだが」

「クルル殿の昼間の言葉、あれは嘘ではないでござるよ。まさかクルル殿が恋をするとは…では、拙者は役目を果たしたので、これにて帰るでござる。じゃあね、ギロロ君」

「!?おい待っ」

止める間も無く、ドロロは消えた。
恋!?あいつが!?
昼間の言葉が嘘ではなく、あいつが恋。誰に?
お、俺だよな、さっきの流れからするに…いやいや、あり得ないだろ。俺は男だ。いや、でももし本当なら下手に好きとは言えないな。
さぁ、どうする、俺。



ーーーーーー




「クークックック、隊長。やってくれたなあ」

隊長の部屋に取り付けたカメラから映し出される映像と音声を聞きながら、高らかに笑った。
まさか俺の気持ちがばれてるとはなぁ。
ドロロ先輩は野暮な事いうタマじゃないから、大方隊長が命令でもしたんだろう。
モニターには赤いおっさん。
ギロロ先輩。
さて、どうするのか楽しみだぜ。
俺は椅子にどっかり座りながら、そのままモニターを見ている。
ギロロ先輩の表情はなんとも硬く、頬はやや赤い。
しばらく考え、考えがまとまったからか、そのまま地下への入り口である冷蔵庫へと向かい出した。
そして、そのまま中へ入って行った。
モニターの映像を地下通路へと切り替える。
とうとう、来た。
俺の心臓は高鳴りだし、ニヤニヤが止まらない。
映像の中のギロロ先輩は、とうとう俺のラボの真ん前に居て、そのドアが開いた。
映像は、ここまで。

「相変わらずノックボタン押さないんすね、先輩」

「クルル…」

「?」

なんつー顔してんだ、先輩。
何だかこっちまで辛くなってくる。

「まぁ、長くなりそうなんで、こっち来て話しませんか」

「あ、ああ…」

俺はさらに暖房の温度を上げ、コンピュータに和室のデータを打ち込む。

「こたつ、用意しますね」

ついでにこたつのデータも。
和室んシミュレーションした部屋に先輩を通した。
やや広めの和室に、こたつが一つ。
その上にみかんが山盛りになった籠と、熱いお茶が二つ。
よく見る和室の光景。
先輩はぎこちない動きでこたつに入る。
その向かいに俺は入り、温まる。
ち、掘りごたつにすれば良かった。

「みかん、甘いっすよ。良かったら食べてくださいね」

俺はみかんを手に取り皮を向いていく。

「あのなクルル…昼間の事なんだが」

「!」

さぁ、来やがった。
さで、大吉が出るか、大凶が出るか。

「さっきドロロに会ってな、変な事を言われたんだ」

先輩が、目を合わせようとしない。
ま、それはそうだわな。

「へぇ、どんな事?」

全部知ってるが、こんな時はとぼけるに限る。

「その、お前が俺に一種の恋愛感情を持っているとな…」

「ほう」

「どうなんだ。本当なのか」

「別にィ?先輩がそう思うならそうなんじゃないんスかね」

「なんだその返答は」

もう、どうにでもなれ。

「じゃあ勝手に返答するが…俺は、お前の事が好きだ」

心臓が大きく脈打った。
向きかけのみかんは机に置き、手をこたつの中に入れた。

「…それって、どういう意味だよ」

「お前が思ってる意味だ。じゃあな、俺は帰る」

「…そっスか」

「そうだクルル」

「?」

「今夜は冷える。風邪引くなよ」

「!」

そういって先輩は部屋から出て行った。
俺が思ってる意味…これは期待していいんスよね、先輩。
それにしてもさっきから飛んでいる二匹の虫。先輩は気づかなかったが…

「俺は気づいてるぜぇ、隊長、ドロロ先輩。満足かよ」



結果は大吉
(ゲロォ!!バレた!)
(ふふ、良かったでござるな、クルル殿)


back



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -