翌日、クリスティーヌはマダム・ジリーによる厳しい稽古を乗り切り、舞台裏で一息ついていた。
「ねぇねぇ、見た?昨日の手紙」
そこにメグがやって来て、何やらニヤニヤした表情で聞いてきた。
クリスティーヌはファンレターの事を思い出し、聞いた。
「ファンレター?」
「そう!あれ私が届けたの。どうだった?」
あれはメグが届けてくれたのかと、クリスティーヌは思い、礼を言った。
「ありがとう!とっても褒めてくれたの。私、ファンレター初めてだから舞い上がっちゃって…あまり寝られなかったわ。メグは、初めてのファンレターどうだった?」
クリスティーヌは、だいぶ前からメグがファンレターを受け取っているところを何度も見てきた。
踊り子なのに、ファンレターが届くなんて凄いと、前々から思っていたのと同時に、メグに対して尊敬していた。
「私も初めてファンレターが届いた時、興奮して寝られなかったわ。…もう凄かったのよ、クリスティーヌのファン。凄い勢いで渡してくれって。しかも若い。私達と多分同じくらいよ」
メグはニヤニヤしながらクリスティーヌを見て、汗を拭った。
「そうなの?」
「それに結構男前だったわ。私聞いたのよ?本当に差出人無していいの?って。そしたら彼、恥ずかしいからって…いい人そうだったわよ」
「そうなんだ。私返事、書こうかしら。なんて言ったって私の初めてのファンだもの」
メグもそれに同意したところで、カツカツとしたヒールの音が聞こえた。
「休憩終わりッ!始めるわよ」
マダム・ジリーが長い指示棒を持って現れた。
クリスティーヌ始めこの舞台裏の踊り子達が、慌ただしく舞台へと走って行った。