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   いつまでたっても、





茂幸はものすごく真面目である。ことサッカーに関しては特に。いや、真面目というよりただのサッカー馬鹿かな。でも一応彼女の私をもう二ヶ月もほったらかしとかどうなの。ちろり、と壁に掛かったカレンダーを見る。大きく丸をつけてある日まであと三日。






練習や試合はできるだけ見に行っている。最近気付いたことは、茂幸も意外にもてるということだ。あんな強面がもてるわきゃないと思ってたのに。いやまあでも茂幸強面だけど真面目だし、優しいし、可愛いとこあるし、仕様がないのかもしれない。……でもやっぱり複雑だ。





「………てわけなのよこーちゃん」

「…いや、俺に言われてもな…」

「いーじゃない可愛い従妹の愚痴くらい聞いてよ」



ぷくりと頬を膨らませると、恒生はすまんすまんと言いながらお煎餅を出してきた。よし、許してやろう。



「大体いいのか?うちにいて。村越明日はオフだからゆっくりできるんじゃ…」

「電話したら自主トレするから暇じゃないって!」


もらったお煎餅をばきりと言う音をたてながら食べる。イライラしているのが目に見えてわかるけど、恒生の前だから気にしない。苦笑しながら私の話を聞いてくれる恒生はやっぱりお兄ちゃんみたいだ。



「まあ…村越にも色々あるんだろう」

「わかるよ…わかってるんだよそれは。でも明日は…」



明日は記念日なのに。そう言いたかったのに、出てきたのは嗚咽だった。頬に涙が伝うのがわかった。茂幸はもう忘れてしまったんだろうか。それを見た恒生が優しく頭を撫でてくれた。なんだかまた泣きそうになった。







もう帰るのが面倒になって、昨日はそのまま恒生の家に泊まった。恒生まじありがとう。起きると机にはサンドイッチと書き置き。


【もう一度、村越と話してごらん】



話せたら苦労はしない。そう思いつつも、サンドイッチを食べながら、携帯を開いて驚いた。着信とメール数が半端ない。しかもほとんど茂幸からだ。一番新しいメールをには、【今どこだ】と短い一言。恒生んち、と打って返すと光の早さで着信がきた。茂幸だ。わたわたしながら通話ボタンを押す。



「も、もしもし」

「…なんで後藤さんの家にいるんだ」


低い声。あ、これはもしかしなくても怒ってる?


「き、のう家で話しててそのまま泊まって…」



そう言うと今度は大きな溜め息が聞こえた。なんで溜め息つかれなきゃいけないの?イライラしてきた。



「私がどこに泊まろうと勝手じゃない!大体今まで私のこと放っておいた茂幸が悪いんでしょ!」



そう叫ぶように言うと、少しの沈黙のあと「…とりあえず家に帰れ。俺も今から行く」と言って切れた。何なのよもう!そう思いつつ、腹ごしらえにサンドイッチをもう一度食べ始めた。




家に帰ると当たり前のように茂幸がいた。リビングの机に神妙な顔つきで座っている。とりあえずその向かいの席に座ると、茂幸がすぐに口を開いた。


「…二ヶ月構ってやれなかったのは悪かった。すまない」



そう言いながら頭を下げるので拍子抜けしてしまった。言い争いになるのを覚悟してここへ来たのに。そんな私の様子に気付いていないのか、茂幸は「本当に、すまん」と尚も頭を下げる。


「こっちこそ…茂幸のこと考えないであんなこと言ってごめんなさい…」


そう言いながら顔をあげると、茂幸と目があった。そしてどちらともなく笑った。


「私たちってほんと不器用ね」


「まったくだな」


そして少し会話をしたあと、茂幸が何やら鞄をあさり始めた。そして出てきたのは小さな箱。え、いや、早とちりしちゃダメでしょうが私よ。でも、この形は、
ぱかりという音を立てて開けられた箱の中には小さな指輪。



「だいぶ遅くなってしまったが…名前、結婚しよう」



それを聞いた途端、涙がどばっと溢れてきた。ああもう幸せすぎて死ねる。




Love U





―――その頃ETUクラブハウス


「お、うまくいったみたいだな」

「えーなになにごとー」

「村越と名前、うまくいったみたいだ」

「あー最近村越すんごい機嫌は悪かったもんなー。後藤なんてほぼ毎日無言の圧力受けてたしなー。名前が一番頼りにしてるからな、後藤のこと」

「…無意識だったみたいだけどな、村越は。でもうまくいってほんとよかったよ…
(これでようやく平穏な日常がもどる…!)」




不憫510!←柚姫さんリクエストありがとうございました^^
コシさんの嫉妬があんまり出せてないような気がしてしょうがないですorz
書き直し受け付けてます←
!柚木さんのみお持ち帰り可です


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