君にありったけの愛を叫びたい | ナノ



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この世界に来てあっという間に二年が過ぎた。


まず話せなければどうにもならないので、ひたすら言葉を覚えた。もともと新しいことを知るのは好きだったし、生きていくために必要なことだとわかっていたから苦にもならなかった。
そしてわかったこと。
ここはオールドランドという世界にある2つの国のうちのキムラスカ王国だということ。
俺はその国の筆頭貴族、ファブレ公爵家の一人息子、ルーク・フォン・ファブレであること。
二年前のあのとき、俺は世界にあるもう一つの国である敵国マルクト帝国に誘拐され、そのショックで記憶を失っている(ということになっている)こと
そして第三王位継承者であるためか、王命により身の安全を図るという名目で屋敷内に絶賛軟禁中だということ。
元の世界との大きな違いは預言と呼ばれるものが有り、それに人々が依存しているということ。
正直俺にはどうしてそこまで預言とやらにのめり込んでるのかがさっぱりわからんが、この世界じゃ常識なんだし、寧ろ俺のほうが異常になるんだろうな。

なぜ俺の精神だけがこの世界に来てしまった原因は未だに不明だが、それよりも誘拐話がきな臭い。誘拐されてから数日後にきたヴァン・グランツというローレライ教団の神託の騎士団に属している奴が来た。そいつはあの日、俺が見た髭だった。
こいつが誘拐に絡んでるのは間違いない。身のこなしを見れば髭が武に長けているのはわかるし、目を見れば真っ直ぐな瞳の中になにかが隠れているのが見える。それに俺を見る目。労る態度をとっていても、俺を蔑むような目ははっきり覚えている。こいつに隙を見せるのはまずい。
20そこそこの若造に色んな意味を込めて負ける気はない。が、その時の俺は言葉も世界の常識もまったくわからん子どもみたいなものだ。元の世界への手がかりを探すのも必要だが、まずはこの世界で生きていくための知識をつけてからでも遅くないしな。

そんなわけで俺は図書室にこもりっきりだ。この世界を構成する音素に譜業、譜術。まだまだ知るべきことは多い。何かと世話を焼いてくれるガイは譜業を心から愛してるようだが、俺はどっちかってーと譜術が好みだな。機械系はさっぱりだし。あと気になるのは預言と教団だな。このユリア・ジュエっつーねーちゃんのこともーちっと知りてえが…2000年前に譜術戦争を終結に導いた天才譜術師で、預言を詠むことができた、あたりのことは本に書かれているが、それ以上のことは書かれていないし、預言についてはどうもいろいろとややこしい事情があるようで、どの本にも当たり障りのことしか書かれていない。…教団の図書室とかに忍び込みてえな…。





もう少し体鍛えて前の身体の時の半ばくらいまで力ついてきたら考えてみるか。




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おっさんはアクティブ派


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