君にありったけの愛を叫びたい | ナノ



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練習や試合を見に行っていることが吉田さんにバレてから、大っぴらに行動することにした。あとサッカーについて吉田さんに聞いたり(まともな答えはあまりないけど)、一緒に録画の試合見たり。共通の話題で話すことは滅多になかったから、少し嬉しいかも


そういえば吉田さんの彼女、最近見ないな。心境の変化とか?あ、最近ETU好調だし疲れて…たら言うわあの人は。まあわたしとしては助かるし、あんまり気にしなくていいか!









−−−一週間前ETUクラブハウス



相変わらずだなあバッキーは。ボール空振りするし、転ぶし。まあこれがバッキーだからしょうがないね。あ、タンビーとセリーに笑われてる


「なーに空振ってんだよ椿!」
「お前ムラッ気ありすぎるんだよなー。どうにかなんねーの?」
「だはははー!椿ィまーたやらかしたなァ!」


クロエもやってきて三人になった。おや、バッキー泣きそうだ。しょんぼりしながらロッカーに向かって歩き始めた。なんだか耳と尻尾が見えそうだよ
その後僕もロッカーに行くと、バッキーが携帯に向かって一生懸命ボタンを押している。誰かにメールをしているのかな?さっきよりちょっと顔が明るいね。バッキーにもとうとう彼女ができたのかな?何処と無く微笑ましい気持ちで見ていると、突然セリーが大きな声を出した


「あーっ椿また佳奈さんにメールしてんのかよ〜」


見知った名前に思わず反応してしまった。佳奈だって?


「え、いや、そのっ」


バッキーは顔を赤くして手をバタバタさせている。まさか…付き合っているの?最近佳奈がサッカーに興味を持ち始めたのはバッキーと付き合い始めたから?
そう考えると心がすっと冷えた感じがした。なんだろうこれは。あんまりいいものじゃないね。何だか少し苦しいな


「あれからスッゲー仲良くなったよなーもしかして…付き合ってるとか!」
「ち、違うっす!佳奈さんは姉ちゃんみたいな感じで…!」
「あー姉ちゃんか〜。確かに恋人よりは姉弟って方がしっくりくるよなー。佳奈さん面倒見いいしな。なあ赤崎!」


そっすね、とザッキーが応える。なんだ姉弟か。途端にホッとした。…ホッとした?何でだろう。それにホッとしても、なんだか心が晴れない。それに佳奈の笑顔がチラチラと浮かぶ。胸もまだ苦しいし。なんだろう病気かなあ…。次の試合、休みたいってタッツミーに言わなくちゃ










…最近吉田さんがおかしくなった。頭がとかじゃなくて、行動が。急に私のことをジーッと見始めたかと思うと、直ぐに目をそらしたり、ため息をつく回数も増えた。女の人は全く呼ばなくなった。試合に影響はないみたいだからいいけど…なんかあったのかな。少し心配かも…心配?あれ何で心配してんの?吉田さんのことあんまり好きじゃなかったのに。彼女を呼ばなくなってホッとしている自分がいる。そして何だか胸がぎゅっと締め付けられる感じがする。ちょ、待て待て私。もういい年なのにこんなのって…




「ねえ佳奈ー」
「う、わっ!あ、はいなんでしょう」



急に後ろから話しかけられて変な声で返事をしてしまった。振り向いて吉田さんを見ると顔に熱が集まってきた。あ、ヤバい今吉田さんのまともに顔見れない




「い、急ぎの用事ですか?」
「え、いや別にそんなことはないけど、」
「あ、じゃあちょっと買い忘れあったんで買い物行ってきますね!」
「こんな時間に一人で?危ないじゃないか、僕も行くよ」
「いやいやいや!すぐそこまでですからお気になさらず!夕飯できてるので先に食べちゃっててください!いってきまーす!」
「あ、佳奈!」



吉田さんに呼ばれたけど無視して玄関から飛び出す。エレベーターを使わずに、階段を駆け降りる。駐車場まで走って車の前でへたりと座り込んだ



「ほんと…勘弁してよ…」



気づき始めた思い




「どうしたっていうんだ僕は…」



ジーノは真っ赤になった顔を手で隠しながら呟いた



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