君にありったけの愛を叫びたい | ナノ



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吉田さんの家に居候している、羽村です。今まで一人暮らしをしていたから家事なんてお手の物で、これが家賃代わりだと思うとやっぱり安いものだ。彼は一応スポーツ選手だから食事のカロリーや栄養について気をつけなければいけないけど、前もそこそこ気にしていたことでさほど大変なわけでもない。



「お、早いね佳奈。今日の朝食はなんだい?」
「おはようございます、ジーノさん。今日はほうれん草のグラタンですよ」
「ほうれん草?僕それ嫌いなんだよ」
「(子どもかこんにゃろ…)好き嫌いしちゃダメですよ。スポーツ選手なんですから栄養もしっかりとらないといけませんからね」


渋々といった様子で席に着く吉田さんの前にを置き、私も自分の朝食の準備をする。2人の都合があうようなら、できるだけ一緒にご飯を食べようと言うのは私と吉田さんとの間に決められたルールの1つだ。どんなに美味しい料理でも、1人で食べてはその美味しさも半減する。1人より2人のほうがずっといい。これは私が小さい頃から両親に言われ続けたことで、それが当たり前だと思っていたものだから、吉田さんに「へぇそういうものなんだね」と言われた時は随分驚いた
でも今までずっと1人だったので、誰かが近くにいるだけで少しホッとする。あ、吉田さんがいるからじゃないから。断じて



「あ、そういえばジーノさん私今日夜遅くなりそうなんですけど、夕食どうします?」


朝食の最中にふと思い出した。今日同僚に合コンに誘われていたのだ。しかもETUの選手と、らしい。昨日誘われたとき、彼女のテンションの上がり具合が異様で引いた。確かえーと丹波さんと、石神さんと…んーあと誰だっけ?あ、いかんもう忘れた。6人くらい来るって言ってたことしかもう覚えてない。場所とかもう一度聞かなきゃなぁ


「きみが遅くなるなんて珍しいね。まぁ、それなら外食するから心配ないよ」
「ちゃんと栄養バランス考えて食べるんですよ。偏った食事は禁止です。野菜食べてください野菜」
「わかったわかった」
「(こんの…人が心配してるっつーのに…)そいじゃよろしくお願いしますね」



私が気にするほど本人が気にしていないようなので、心配するのもアレかと思い朝食をさっさかと食べて会社へ向かった




世話焼きの性。



基本は空回りばっかりなんだけどね!







ほうれん草嫌いなジーノって何だかきゃわいいと思うのですよ



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