君にありったけの愛を叫びたい | ナノ



   幸せってさ





「なー佳奈、あれとって」

「はい」

「ありがと」



「ねぇ猛それとって」

「んー」

「ありがとう」



まぁだいぶあれだよね、あれ。ほらーあれだってねぇ猛。そうそれそれ熟年夫婦みたいだよね私たち。
私たちは幼馴染で、高校のときから付き合い始めた。そのあと猛がプロになって、ETU入った。その辺からどうも怪しかったけど、何年たつと、猛は一人でヨーロッパ行った。私は置いてけぼりにされても猛のことが忘れられなくて、ずーっと独り身でいたら突然帰ってきて、ETUの監督になって。自然消滅したみたいになったけどまた付き合い始めて今に至る。私もいい歳だしいい加減結婚したいけど、でも今の関係も気に入ってるから、それでいいんだ。


今日は珍しくオフ。でもこんな時でも猛はこれから対戦するチームの戦力分析のために、いろんな試合を観ている。私もクラブハウスの一室にある猛の部屋にお邪魔して、一緒に試合を観戦。猛の影響もあって、私はサッカーにはなかなか詳しくなった、はす。それでもやっぱり猛には敵わないし、邪魔になっても嫌だから、少ししたらそっと部屋の掃除を始めた。
掃除も一段落ついたのでまた猛の隣に座る。


「よっと」

「佳奈ー今日の昼飯何ー?」

「オムライス」

「…チキンライス?」

「はいはい、卵はふわとろね」


やたーと喜ぶ猛を横目で見ながら食堂に向かった。



「はいできたよー」

「おっいい香り〜」


ことり、とテーブルに皿を置くと、猛はDVDを止めてスプーンを持った。


「いただきまーす」

「召し上がれー」


はふはふと息を吐きながら美味しそうに食べる猛を見ながら、私も手を進めた。うん。今日も美味しく出来た。オムライスは私の得意料理の一つ。というのもオムライスが猛の好物の一つだからだ。中学の頃必死で練習した。懐かしいな…と一人思い出を振り返っていると、「佳奈ー」と呼ぶ猛の方に顔を向ける。


「んまかった。ありがとな。やっぱ佳奈のが一番うまい」


ニシシと笑う猛の顔を見て頬に熱が集まっていくのを感じた。くっそかっこいいなちくしょう。照れ隠しのために手に顔を当てながら「ありがと…」とポツリとつぶやいた。


「おやぁ佳奈サーン耳真っ赤ですよー」


今度の笑いはからかいを含んでいる。こんの…!


「たーけーしー!」

「あははっ」

「笑うんじゃないよ!」


バシバシと猛を叩くと、勢いで倒れてしまった。私が猛の上に馬乗りになっている状況だ。


「あ…」

「…なーんか面白くない」

「へ?」


猛がポツリとつぶやいたかと思うと、視界はぐるっと回転した。いつの間にか私の真上に猛の悪そうな顔。


「んじゃ、デザート食べちゃおーっと」

「…バカ」


その言葉にまた顔を赤くしながらその背中に手を回した。


からかい合って、笑いあって。これが今の私にとって、一番の幸せなの。





10000Hit青島様に捧げます。だいぶ時間が経ってしまいまして申し訳ないです…orz
2人の日常、甘々と、言うことですが、ご希望に沿えているでしょうか。
とても嬉しいお言葉ありがとうございました!これからも朗月をよろしくお願いいたします^^
!青島様のみお持ち帰り可


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