君にありったけの愛を叫びたい | ナノ



   君が好きだからって、





最近忙しくてお弁当を作る時間も惜しく、専らコンビニで買うことが多くなった。恋人の影響か、大体タマゴサンドを選ぶ。シンプルイズベスト。これがなかなか美味しい。カゴにタマゴサンドをいれ、飲み物やちょっとしたお菓子を入れる。



「(あ、そうだ)」



飲み物のコーナーに戻ってあるものを入れた。Dr.pepper。恋人に頼まれていたものだ。彼はタマゴサンドとこれが大好きで、三食これの時もよくある。…栄養が偏るからやめるように言ってるんだけどなあ。
タマゴサンドの美味しさはよくわかるんだけど、Dr.pepper…あれはだめだった。好みが分かれると思うよほんと。
レジで精算してコンビニを出る。少し暖かい風が頬をなでた。だんだんと暖かさが増し、季節は春から初夏へ変わろうとしている。今日の気温は22度。半袖でもちょうどいい温度だ。日焼け対策として長袖を着ている私にとっては、少し暑い。…30すぎると、こういうことにも敏感になるもんなんだよ…。少し早足でクラブハウスへ戻る。グラウンドでは練習が終わり、何人か選手が残って練習している。ドリンクの用意をしなくちゃなー。あとタオルと「佳奈さぁん!」
声の聞こえる方へ顔を向けると有里がいた。半泣きだ。ああまたか…。



「どうかした?有里」


「また達海さんが起きてくれないんですー!」


「あ、ははは…ごめんね」



有里の頭を軽く撫でながら、まだ寝ている恋人のかわりに謝る。後で一発殴っとかないと。



「じゃああの馬鹿起こしてくるわ。まだ練習してる選手にドリンクとタオル渡しといてくれる?」


「わかりました!お願いします」



「(…さて、それじゃ行くとしますか)」







クラブハウスのある一室。私の恋人はお昼を過ぎた今も布団をかぶってそれは気持ちよさそうに寝ていた。猛、と声をかけながら揺すってみる。うーんと唸り声は上げても起きない。大きく揺すってみる。…起きない。叩く。やっぱり起きない。はぁとため息をつく。まあこんなことで起きてれば、有里だって苦労はしない。最終手段に出た。



「起きなさい、猛っ!」


「っおわぁ!佳奈起きた起きた!」



耳元で叫ぶと猛は耳を抑えながら飛び起きた。毎度毎度、こんなことしなくても起きて欲しいものだ。ふわぁと呑気にあくびをしている猛の頭を一発殴る。痛がっているけど気にしない。起こしているこっちの身にもなれっ!



「ったくもー。もうお昼すぎちゃったわよ。ほら、タマゴサンドとDr.pepper」


「お、サンキュー佳奈」



猛の隣に座って、私も一緒にご飯を食べる。んーやっぱ美味しいなあタマゴサンド。もふもふと食べていると、隣からなんとも言えない香りがしてきた。あー…やっぱり苦手だなあこの匂いは。それほど嫌な顔をしているつもりはなかったけど、猛が「やっぱ苦手なの?コレ」と言ってきた。こくりと首を縦に振ると、「おいしいのに」とグイグイそれを飲んだ。…私には出来ないな。自分用に買ってきた別の飲み物を飲んでいると、猛に袖を引っ張られた。振り向くと、満面な笑みを浮かべた猛。嫌な予感がするんですけど…。
猛はDr.pepperをおもむろに口に含むと、そのまま私に口づけてきた。


「ちょ、んむっ」


猛の口から温くなったDr.pepperが流れ込んでくる。あああ、やっぱこの味は好きになれない。しかし吐き出すわけにもいかずにそのまま飲み込む。離れるかと思った口はさらに深くなった。舌と舌が絡み合う。手が頭に回されているので離れられない。一分くらい経ったくらいだろうか、だんだん息がきつくなってきた。ドンドンと胸を叩くとやっと唇が離れた。
ハァハァと息を整えている私を見た猛がにやりと笑いながら一言。



「うまかったろ?」









「(でもやっぱこれは無理だな)」


「なあ佳奈…ヤんない?」


「っ!?ちょ、何言ってんの真っ昼間から!」


「さっきのお前めちゃくちゃエロか…ぶっ」


「一生寝てろ!」







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