君にありったけの愛を叫びたい | ナノ



   ダンデライオン





※学パロ



雲一つない、真っ青な空の下で、今日私は3年間過ごしたこの学校を卒業する。



最後のHR、それぞれの一言で女子の中に涙がちらほら見える。皆と別れるのは寂しいし悲しいけど、何故だか涙が出ない。なんでかな。


「じゃあ次は…世良ー。
期待してるぞー!」


「えぇ!なんでそういうこと言うんすかー!」


ドッと笑いが生まれる。皆に小突かれながら世良君が前へ出た。



「えーっと…一年間このクラスで良かった。学園祭とか球技会とか…行事ごとある度に色々バカやれて楽しかった!
俺は進学する皆と違って、サッカー選手になる。そんなに甘い仕事じゃねェし、今まで以上に努力しなきゃいけない。
でも俺負けないで頑張るから、皆も応援してくれよな!今までサンキュー!また会おうぜ!」


頑張れよーと言う声と拍手の中、席に戻る世良君をじっと見つめる。


1年の時、サッカー部の練習に参加している世良君を見た。一生懸命走っている姿に一目惚れして、練習をこっそり見るのが日課になった。今思えばストーカーみたいだったかもしれない…笑えないけど。
差し入れにレモンの蜂蜜漬けを作ったりしたけど、面と向かって渡せず、家で一人寂しく食べたのは内緒だ。下駄箱に食べ物入れる訳にはいかないからね。
ただタオルとか、リストバンドとか、手紙とかは渡した。渡したというか、机の中に入れといただけなんだけども。押し付けとも言うかも。


最後だし告白したい…けど、私なんかに告白されてもねぇ。いい迷惑だろうなぁ。
ふうっとため息をつく。いろいろ考えている間にHRは終わってしまっていた。最後なのに何やってるんだろう私は。アホか。




「佳奈〜!一言書いて〜!」


「あ〜い」



HRの後は卒アルに一言書く時間だ。あと写真とったりする時間。これ中々長いんだなー。でも友達は殆ど県外に行っちゃうし、寂しいのほんとだし、どうせあっという間だ。



***



あっという間だった。部活の顧問や、受験でお世話になった先生に挨拶していたらもう4時だ。校舎にいた生徒も先生も、もうほんの少ししかいない。クラスメイトはボーリングに行ってしまった。私は苦手だから遠慮したけど。
渡り廊下を一人歩く。窓の外を見ると、空がうっすらオレンジ色に染まっている。3月の始めでも、まだ少し肌寒い。
ふと前を見ると、世良君が前から歩いてきた。ああまともに顔が見れない。足が自然と早足になる。すれ違っ、た「なぁ羽村」


びくりと方が揺れた。まさか呼ばれるとは思ってなかった。



「どうかした世良君」


顔赤くないかな。声震えてないかな。内心嬉しさととまどいでいっぱいだ。



「あの、さ」


そう言い出した途端、黙りこくって下を向いてしまった。どうしたんだろう。じっと見つめていると、ばっと世良君が顔を上げた。顔は真っ赤だ。



「羽村…俺の勘違いだったら悪ィんだけど、部活のときときどき俺のこと見てた?」


そういわれてぎくりと心が揺れた。ばれてた!「え、あの、その、えと」言葉が見つからずに、あたふたする。


「…うん、見てました」


でもすぐにどうにもならないと諦めた。これでもう嫌われたな…。



「じゃあさ、机の中に差し入れとかくれたのも羽村?」


「うん。ごめんね、迷惑だったよね…」


「そんなことねぇ!」



世良君が急に大きな声を出したからびっくりしてしまった。そんな私の顔を見て、「わ、悪ィ!驚かせるつもりはなかったんだ!ごめんな!」と焦った様子で言ってくれた。



「嬉しかったんだ」


「え…?」


「覚えてるかな…入学式の時さ、俺の髪にたんぽぽの綿毛ついてて羽村がとってくれたの。
あのときさ、恥ずかしいけどその…一目惚れしたんだ」



聞いているうちにだんだんと顔が下を向いてしまう。顔は真っ赤だろう。廊下に小さな水たまりができた。



「あの、だから羽村がよければ俺と付き合って…ってえ、」


私の涙に世良君が気づいてしまった。あたふたしているのが俯いていてもわかる。顔をあげたいけど、きっと涙でグチャグチャだ。あいにくハンカチは鞄の中。それでもこの言葉だけはいいたかった。


「わ、たしも、世良君のこと、好き、です」


「…え、ほ、ほんと!?」



首を縦にふる。嬉しすぎて涙が止まらない。とまれ、とまれ。念じながら制服の袖で顔をふく。


そんなときぎゅっと抱きしめられた。この場には私と世良君しかいない。


「ありがとう…。すっげ嬉しい」


肩に顔を埋められて、私も返す。



「ずっとずっと、大事にする」


もう声が出なかったから、想いを込めてぎゅっと抱きしめ返した。










***

卒業おめでとう自分みたいな^p^←
gdgdすぎてすみませんorz

「真心の愛」はたんぽぽの花言葉です。


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