58
クリスがおっさんを拘束して、扉を開けたルイスがこっちだ、と叫んだ。
レオンがそのまま私を抱き上げて、走り出す。
ああ…プラーガの除去か。
意味があるのかは、わからないけれど、と思いながら連れて行かれた先。
完璧に実験室だろ、なんて、思っても口にできる元気はなくて。
てか、ゲームの方でさ…レオンもアシュリーも中々苦しんでたよね…?
予測できる痛みは、わかるからこそ嫌
先ほどの部屋に来なかったメンバーで探してくれたという、除去装置。
よくあったな、と思うが、たしかに、此処は親玉のいた所だ、あっても可笑しくない。
寝かされて、手首を拘束される。
私が叫ぶだろうことがわかっているルイスとジョンが非戦闘員を連れ出してくれた。
帰ってきたルイスとクリスが入れ替わって、ルイスがボタンを弄る。
「行くぞ、」
その声に、頷いて、痛みを覚悟した。
「ぁ、ぐ…あぁあああぁぁあああああ!!」
よくまあ叫ぶ元気があったものだと、どこか冷静に考えている自分がいた。
それでも、後半は痛みで頭が真っ白になる程で――
「ヒサメ!ヒサメ!!」
名前を呼ばれ、自分が目を伏せていたことがわかった。
重い瞼を開けば、心配そうなレオンとルイスがいて。
大丈夫、とだけ口を動かした。
「よかった…。」
ほっとしたように声を出して、レオンはもう一度私を抱きかかえた。
そのまま、外に出て、エレベーターで会場に戻る。
アリスたちが乗ってきたと言うヘリで上昇しながら、施設の自爆スイッチを入れた。
ヘリにまで来た振動にもう、こんなことは起こらないだろう、と安心する。
「これ。」
シェリーが、ジッポを差し出してくれる。
ああ、そういえば、渡していたな。
ありがとう、とそれを受け取る。
が、手に力が入らず、そのまま、床に音を立てて落ちた。