ナマモノ | ナノ



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結論から言おう、勝てた。
どうやら味方に、強力なチート魔法使いと同様の戦士がいたらしい。
え?何の話かって?
勇者のパーティーの話だよ。

『やべぇ、正直死ねる。』

勇者より、魔王の方が好きな私は

うん、結論はね、処刑マジニだって倒せたさ。
でもね、その代償は大きかった。
まず、左手が折れた。
…無くならなかっただけマシかな、とは思うけれど、動かないのは辛い。
正直、くっついてるのはプラーガのおかげなんじゃないか、ってくらい危なかった。
あとさっき、血を吐いた。
これはプラーガ関連なのか、それとも、身体ダメージの所為なのか、判断がつかない。
靴の踵から、弾倉を取り出さなきゃいけないくらいに、弾を使った。
もう2度と出てこないでくれ、処刑。
50口径を刀に持ち替えて、女性の叫びが聞こえた方へ向かう。
ちなみに、近寄った今、銃声が聞こえるので、未だに戦っているんだろう。

『行きますか。』

両足を地につけて、ぐ、と歯を食いしばる。
いいから、こんなこと終わりにしよう。
そう思って、飛び込んだ其処には、ハンターと戦うエイダの姿。
…え?エイダ?此処で出てくるの?
いや、此処で出てこなきゃ、もうでてこなかったと思うけど。
思わず何度か瞬いて、それから、気を取り直して、残り一体となっているハンターに斬り掛かる。
爬虫類チックとは言え、鋼を弾く程の強度はない訳で。
肉を斬る感触に眉をしかめるが、力は抜いたりしない。
そのまま、刀を振り抜いた。

「大丈夫?…エイダ。」
「っ、ヒサメ、」
「ほら、立って。」

近寄って、笑えば、驚いたような顔をしたエイダ。
頷いて、立ち上がった彼女は、悔しそうな顔をして、告げた。

「大統領の娘を、誘拐したの。」
「…それらしき、少女は見たよ。」
「彼女に、危険な寄生虫が、」
「…それさ、プラーガとか、言わないよね?」

私の言葉に、エイダは、何で知ってるの?と首を傾げる。
…そういうの、本当にやめて欲しい。

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