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いやぁああああ!引きが悪すぎる!
何でこのタイミングでタイラント(2体)なの?!
もう、詰んだ、これは詰んだって。
なんて思いながらも、必死に飛び回って、銃を構える。
『此方こないでってば!!』
叫んだ所で聞いてくれるはずもなく、とりあえず、一体ずつ倒すことができるのだろうか。
走馬灯とかって、即死でも見られるのかなぁ
転がる、撃つ、ぶつかる、撃つ、躱す、撃つ、リロード、撃つと見せかけて、転ぶ。
一瞬たりとも気の抜けない状況で、何故転けた、私。
と、思った瞬間頭上をタイラントの爪が通り過ぎる。
…うん、よく転けた私。
転がりながら立ち上がり、銃を構える。
部屋の中は既にぼろぼろで、少し不安になった。
これ、さ…水入ってきたりしないよね?
ていうか、タイラントに銃と刀で挑んでいる私は馬鹿なんじゃないだろうか。
すぐ真横に振り下ろされた腕に気を失いそうになりながら、頭を打ち抜く。
それから、空いた方の手で、刀を抜いて、首許に突き刺した。
大きな体が後ろに傾いたのを見て、一瞬、油断してしまう。
思いっきり振り払われた腕だか足だかに、ぶつかり、吹き飛ばされる。
そのまま壁に打ち付けられ、息が詰まった。
が、迫って来るもう一体がぼやける視界に入り、弾を放つ。
『死んで、たまるかよ、』
何処に当たったのかわからないが、どぉん、と大きな音を立てて倒れるそれ。
弾を補充して、距離をとりながら、様子をうかがう。
ぴくり、と動いたのを見て、弱点と思わしき部分に銃弾を撃ち込んだ。
『ハーブか救急スプレーが欲しい。』
切実に、と呟いて、カプセルを飲み込んだ。
その場に崩れ落ちるように座り込んで、呼吸を整える。
絶対、ラクーンのときの傷開いたって、なんて思いながら、自分の姿を見る。
気がついていなかったが、切り傷がヤバいことになっていた。
コートなんて、殆ど役に立たないと思うくらいにはぼろぼろだ。
『さてと、もうひと頑張り、かな。』
立ち上がって、先に進む。
扉を開けば、其処には、多分スーパーコンピューター的な機械が大量にあった。
結構あっさりと、最深部にはつけるものなんだね、と何度か瞬く。
ブゥンと何かがぶれるような音がして、目の前に少女のホログラムが浮かんだ。