33
覚悟していくしかないよね、こういう時って。
扉を開けて、静かに入っていく。
相手方を観察しながら、磔みたいになってるレオンの存在を確認。
残念ながら、此処にはシェリーとアンジェラはいないようだ。
相手は3人、先ほどレオンを連れて行ったメンバーと変わりはない。
登場人物に、私を含まないで欲しかった
「貴女は…エイダ・ウォン?」
首を傾げた男に、首を左右に振って、笑う。
レオンを担いでいた男の隙が見当たらない。
他の二人はまだ、隙があるのだが…。
「私は氷雨よ、ラモン=サラザール?」
「何故、私を知ってるのです?」
「さぁね?…ちなみに、貴方たちの上にいる存在も、知っているわ。」
レオンは焦点があまり合っていない目で、此方を確認している。
どうやら、意識が朦朧としているようだ。
これじゃあ、助け出しても、速攻逃げてもらうのは無理か。
…どうしよう、語りかけてるから意識があると思ってたんだけどなぁ。
反応があるのを確認する前にバレちゃったんだもの。
「それで?どうするつもりですか?」
「…そうね、どうしましょうか。」
にこり、はったりで笑う。
いや、本心でどうにもできない。
これで、ここにいたのが、サラザール一人か、もしくは側近一人だったら何とかなった。
でもね、流石に3対1でしかも、意識のない人間を庇いながら、なんて無理。
「ぅ…あ、ヒサメ…?」
レオンの声が聞こえ、一瞬気が逸れた。
その瞬間、側近が動く。
ヤバいと、思ったが、既に遅い。
せめて、とサラザールの脳天を打ち抜く。
「っぐ、」
壁に叩き付けられて、意識が朦朧とした。
奥の扉から、一人、また新しい登場人物が現れる。
一昔も二昔も前の魔法使いのようなローブを被った男だ。
ソイツが注射器を持って、近づいていくのを見て、必死に声を振り絞った。