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はあ、と露骨にため息を吐かれた。
気まずさに目を逸らす。
どうしたものか、と必死に頭を働かせていれば、エイダが目の前まで下がってきていた。
「シェリーが、近くに来て欲しいそうよ。」
「ん、わかった。じゃあ、よろしくね。」
正直、恋愛で一番大変なのはキューピッドだ
エイダにレオンを任せ、前に進む。
その位置で暫く歩いて、到着したのは、残念ながら、洞窟。
人のいるところに着けるのは、明日だろうと言われた。
まあ、明日つけるのなら、まだいい方なんじゃないかな、と思いながら、そういや、とポケットを漁る。
「ほら、これ使って。」
「?」
投げたそれをキャッチするクリス。
手の中の輝きを見て、びっくりしたようにこちらを見る。
「これ、」
「まあ、あれだよね、火事場泥棒?」
肩を竦めて、他にも持ってきたネックレス等を出した。
実はもっとパクっていたりするが、まあ、自分の将来のためだと思って欲しい。
お金持ってないんだもん、仕方なくね?武器しか支給してくれなかったんだもん。
「ヒサメ、」
「だって、ラクーンからジルと逃げたあと、お金が必要だと思ったんだもの。」
「強かね、」
「そりゃ、長く生きてるからねぇ。」
エイダの言葉に苦笑して、やっぱ捕まる?と警察諸君に目を向ける。
全員唖然としてから、目を見合わせて、まあ、大丈夫だろう、と頷いた。
これがなくては生活できないしな、とクリスが悪戯っぽく笑う。
「つまり、俺たちも共犯、って訳だ。」
「そ?なら良かった。」
そう言って、ふと、メンバーの並び方を見た。
クレアとクリスとアリスとシェリーが片側に寄っていて、エイダとレオンとジルとアンジェラが反対にいる。
…どっちに行っても面倒くさい気がするのは、果たして私の気のせいだろうか。
「私、外、見張ってる。」