旦那 | ナノ



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首を傾げると、二人は考え込むようにして、首を傾げた。
ぱ、と私を見て、紳先輩が笑う。
宗くんも楽しそうな笑みを浮かべた。
二人が口を開く前に先手を打っておく。

「後輩が先輩を信じられなくなるような願い事は却下しますからね。」
「心外だな…、両親にあって欲しいと思っただけなのだが。」
「…いやいや、可笑しいでしょう、どう考えても、根本的な問題で!」
「そうか?」

ああ、だめだこの人、変なところで天然なパターンだ。
思わず額を抑えて、ため息を吐く。
ちら、と宗くんを見ると、彼もぽかんとしている。
が、次の瞬間、にこり、笑った。

「そういえば、母さんが久しぶりに会いたいって言ってたよ。」
「…ああ、うん、もういい、私の常識が間違ってたんだね。で、宗くんは?」
「俺はいつも通り、一日独占。」
「ああ、はいはい。じゃあ、今日の審判と次の中間テストで全教科合計の失点が20点以内なら叶えます。」

だから今回は諦めて下さい、と告げて、1年生の方を振り返る。
あーあーあーあー、だから嫌だったんだよ。
この人どういうことなんだろ、みたいな視線を向けられるんだよ?
牧さんの彼女?え?それとも神さん?みたいなさーあ!

「1年生、やってくれる子は決まった?」
「決まりましたー。」
「ありがと、ついてきて。ちなみに、私はどっちとも付き合ってないから。」

え?!と驚いた声が響いて、はぁ、とため息を吐く。
これで、彰くんの存在とか知ったらもっと面倒なんだろうな、と思いながら気を取り直して笑う。
橘くんが、マネ候補を連れて来てくれた。

「審判は紳先輩と宗くんがやってくれるって。」
「マジか、」

驚いた顔をした橘くんに苦笑して、とりあえず試合を始めた。

うん、私の出番はなかったよ。
女の子相手だからと、困るかと思っていた1年生のやる気に吃驚しながら、橘くんに笑いかけた。

「後継者無し。」
「ま、仕方ねーんじゃねーの。」
「最初に抜けてった半数の方に希望を掛けてた子がいた時点で諦めたけどね。」
「…同感。」

部活が終わり、男マネが片付けをしている間にそんな話をする。
つーか、めっちゃ喧嘩腰だった1年生が、全然バスケできなかった事実にビビった。
と呟けば、思わず、といったように橘くんが吹き出す。

「ま、来年に期待を掛けようか。」
「だな。」

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