旦那 | ナノ


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ちゃちゃっと終わらせて、部活の様子を見る。
橘くんと相沢さんと三人で話しながら練習方法の見直しやら、なんやらとかしてみたり。
怪我に対して走り回ったり、タオルとドリンンク補充したり。
後洗濯干したりもして、一段落着いたけど、今日はマネ希望の子に対する対応で休みがない。

「氷雨、」
「ちょっと待って下さい!呼ばれたからごめん、これはこのままで良いと思うよ。」
「おー、いつも通り急がしそうだな。」
「いつものことだよ、今行きます!」

橘くんとマネ希望の子についての話を終わらせて、紳先輩のところへ行く。
なんででょう?と首を傾げると彼はディフェンス頼めるか、と告げた。
ちら、と時計を見て、10分なら、と頷いて、ゴール前で構える。
押し出すように息を吐いて、一度の瞬きでスイッチを入れた。
2対3の練習で、私が続けてディフェンスを行うことで、攻めた二人がディフェンスをするだけですむって言う。
ちなみに、この体育館はゴールリングが全部で8個ある。
体育館を全部使ってのコートでリングが2つ、体育館半分のコートで4つ。
その後者の同じ壁についているリングの丁度中間にもう一組。
今は全部使う方のリングは降ろしていないので、6個のリングを使って、練習している。

「氷雨、それ誰だよ、」
「陵南のディフェンスに定評のある池上さん。」
「おま、それ新しくね?!」
「昨日、陵南対湘北見て勉強してきた!っと。」

はい、とった、にっこり笑うと嫌な顔をしてディフェンスに回る同い年のスポ選。
その表情に苦笑して、私はもう一度腰を落とした。

「うわ、やば、15分経ってる。」

2対3が予想外に熱くなってしまって、予定よりオーバーしてしまった。
慌てて、マネの仕事に戻る。
ちなみに、ボールがぶつかった女の子たち(最初の子一人だけではない、よけろよ、と思わないでもない。)は男マネの一人に任せた。
彼が氷嚢を作って相手してくれて、ついでにチェックもしてくれる。
うむ、有り難い。
なんていつも通りに動いていれば、気がつけば練習もほとんど終わり、今日のラスト。
耐久30分走。
全面コートの四隅にコーンをおいてそれを走るだけなのだが、男マネが何週走ったのか数える。
正確にどんな練習なのかを伝えると、まず、スタートを8ヶ所に分け、そこからスタート。
自分のスタート位置の前後で、とりあえず何か声を出す(主に自分の名字)。
それによって一周がカウントされるため、名前を言い忘れるとカウントされない可能性もある。
勿論、男マネも見ているのだが、カウントしている最中だと見ていられないので、名前が確実なのだ。
で、走った量が少ない部員にはもれなく筋トレプレゼント。
なんてことをやっているんだが、今日はその間に私と橘くんでマネ候補とお話しする。

「今日見学してみてどうだった?」
「ちなみにこれが毎日だからなー。」

橘くんの言葉に視線を彷徨わせる大半。
体力に不安がある人は、辞めた方がいいと思うよなんて思うが、一応口には出さない。
私も一応貧血持ちだし…まあ、体力はついたけど。

「無理かなって思う人、いたら言ってくれる?帰ってくれていいから。」

そう告げれば、半分以上がいなくなった。
うーん、減ったねぇ…。
真面目そうな子もいるんだけど、逆に考えすぎて辞めちゃうことが多いんだよね。
まあ、止めないけど。
いや、だって、選手に精神的にダメージを与えた一員だよ?
自覚はなくてもそれが事実だからねぇ…。

「さてと、残った子たちに意気込みを聞こうか。」

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