旦那 | ナノ



047
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「氷雨!出番だぞ!!」
「はぁい。」

先生に一度頭を下げて、紳先輩の方へ向かう。
コイツだ、と背中を押された彼は、優男風でにこり、緊張気味に笑った。
その笑顔にふふ、と笑い返して、ねえ、と声をかける。

「君、新入生代表だったりしない?」
「っ?!よくわかりましたね。」
「まぁね?宗くんと私、紳先輩、それからもう1つ上のマネとキャプテンっていう歴代代表見てるから。」

勉強と部活の両立は辛いぞ?と脅しをかけて、誰とやりたいの?と首を傾げた。
彼は少し迷った後、白雲先輩と、と眉を下げる。
思わず、キョトンと首を傾げた。

「私?」
「はい、四中時代から見てました。」
「?君、はうーん…あ、武石中?」
「っはい!!」

そかそか、と頷いて、右手を差し出す。
重なった手にかるく力を入れて、よろしく、と笑った。
ボールを渡して、ハーフラインに下がる。
に、と口角をあげた。

「いつでもどうぞ?」
「行きます!」

その声とともにドリブルが始まる。
上手い、が、紳先輩やリョーちゃんには劣ってしまう。
しかし、筋はいい、PGが向いているかもしれないな。
冷静に分析しながら、スティール。

「っ?!」
「攻守交代だよ。」

ドリブルをつきながら、目を細めて彼を見る。
彼が戻るのを待ち、そこから切り込んでいく。
身長が私よりは確実にある彼の上を越えてシュートする方法は少ない。
フェイクを入れ彼が飛び上がった後、後ろに飛びながらワンハンド。
バックボードにワンバウンドして、リングを通る。

「緊張し過ぎ、かな。でも、うん、紳先輩の跡を継いでPGになるための練習が中心だね。」
「っえ?!」
「ドリブル、よかったよー。私も元々はPGだし、善し悪しはわかるつもり。」

にしし、と悪戯っぽくと言うか、まあ、そんな感じに笑えば、少年は嬉しそうに目を細めた。
はい!といい返事が聞こえて、ああ、それからね、と彼のプレイで感じたこと、見えたことを伝える。
コクコクとおもちゃのように頷く彼に苦笑しながら、ベンチに戻った。

「やっぱり、白雲先輩を選んでよかったです。」
「ふふ、ありがとー、そう言ってもらえると嬉しいよ。」

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