旦那 | ナノ



025
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考え込んでいるキャプテンを引きはがし、私にボールを拾ってくるように言う先輩。
はいはい、と言いながら、ボールを取りにいって、ドリブルする。
誰かを真似するのはなしだからね!と人差し指を突きつけてくる先輩に了解です。と返した。
そのままゴールに一直線に走り、ディエンスについた先輩にクス、と笑む。
一歩後ろに飛び、3Pラインから出て、女子らしく両手でシュート。
いい感じに回転のかかったボールは、リングを通って網を跳ね上げた。

「嘘。」
「ホントです。」
「何で?氷雨ちゃんって四中のセンターだったでしょ?」
「え、知ってたんですか?」
「後輩が言ってたのよ、四中に試合中ワンハンド決める、大きくないセンターがいるって。」

思わず苦い顔をする。
いや、そんな風に広まってるとは思わないじゃん?
一人考えていたが、気がつけば、先輩が目の前にいた。

「センターがなんで3P入れられるのよ!」
「先輩の身長が高かったですから、私がセンターだったのは2年後半からですよ。」

肩をすくめた。
そもそもそんなに試合してた訳でもないですし、と思い出しながら指折り数える。
先輩がむっとしたように私を見た。

「…なんです?」
「新学期は絶対私が勝つから。」

思わず先輩に抱きついた。
慌てる先輩がかわいい。

「ありがとうございます、嬉しいです。」
「放しなさい!」
「いいじゃないですか、女同士なんですし。」

先輩が、はぁ、とため息を吐いて、そうだけどね、と疲れたように言う。
先輩いい匂いがする。
やっぱ女の子っていいなぁ。
あまり長いこと抱きついていて嫌われると困るので、離れる。

「先輩って、結構胸ありますよね。」
「っば、な、あ」
「何言ってるか分かんないですよ?」
「っ〜〜〜〜〜〜〜!!!」

声なき声を上げて、キッと此方を睨みつけて来た先輩。
手が伸びて来て、私の胸を鷲掴む。
…まあ、先輩の手じゃちょっと足りないかな?とその様子を見ながら首を傾げた。
先輩が、目を見開いてから、体育着を捲ろうとするのでそれは必死になって抑える。

「ちょ、流石にそれはやめて下さい。」
「アンタの方がデカいじゃないの見せなさい!」

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