旦那 | ナノ


096
しおりを挟む


猶予期間

「今週末が陵南戦からの武里…だよね?」
「それ何回目の確認だ、そろそろ答えるの嫌になってくるんだけど」
「…ごめん、なんか心配で」

橘くんに呟くように返してから、気合いを入れなくちゃな、と頬を軽く叩く。
引き継ぎの件は、今進めている最中だから良いとして。
全国に来るだろうチームの分析も進めておかなくてはならないだろう。
と、そろそろ洗濯機の止まる頃だ。

「洗濯室に行ってくる」

いってこい、と見送られて、ついでに使用済みタオルをいくつか回収。
新しいのをあとで置きに来ないと、と思いながら、洗濯室まで向かった。
洗濯を取り出して、使用済みタオルと洗剤と柔軟剤をいれてもう一度回す。
新しいタオルと洗濯ものを持って、体育館に戻った。
と、何だか良くわからないが、男マネが立っている。

「白雲、洗濯干してくるから貸してくれ」
「へ?」
「これから一週間は練習中心に見てろって高頭先生から言われただろ?」
「…あ、」

そういえば、この間の湘北戦のあとそんなことを言われたような記憶がある。
私のはっとした顔に気がついたのか、くつくつと笑われた。
ムッとしたが、忘れていた私が悪いのだろう。

「じゃぁ、ちゃんと皺伸ばしてから干してね?」
「…皺?」

不審そうな顔に、不審な顔で返す。
タオルを一枚持って、手首のスナップを効かせながら、パン!といい音を立てる。
おお、と驚いた顔を向けてくる彼らに、苦笑しながらこんな感じでね、と頼んでおいた。
それからミニゲーム形式で行なわれている練習を見ながら、スコアをとっている一年生に近づく。

「ちょっと見せてね?」
「わ、白雲先輩?!」

驚かれているが気にしない。
スコアとコートを見比べて、口元に手を当てる。

「ありがとうね」

一年生たちに邪魔してごめんねの意味も込めて告げてから、先程回収したタオルの場所に新しいタオルを置きながら高頭先生の元へ向かう。
扇子をぱたぱたとさせながら、じっと見つめている高頭先生に近づいた。

「来たか、白雲」
「え、あ、はい…なんでしょうか?」

呼ばれてはいなかったと思うのだが。
と、少しテンパりながら近寄る。
いつもよりもぴりぴりしている印象の高頭先生は、私を見た。

「陵南は、どうだ?」
「…強いチームだと思います。ただ、2年生が多い印象なので、今年だけでなく来年も怖いです」
「来年、か」
「まず、今年ってことは、わかってますよ!」

来年とか口に出すべきじゃなかった?!とテンパりながら続ける。
そう言う意味じゃない、と笑う高頭先生は、扇子をゆっくりと動かした。

「来年も見つめられるメンバーがいることは、海南の強みだ」

[前へ]/[次へ]

[ back to menu ][back to main ]


×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -