旦那 | ナノ



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皆がこくり、と頷いてくれたのが嬉しくて、頷いてみせた。
じゃぁ、行こうか橘くん、と、声をかけてマネ二人で控え室を出る。
後ろの方から、ノブくんの、何だったんすか?という声が聞こえて思わず苦笑する。
ばたん、と閉じた扉に背を向けて、橘くんと走りながら顔を見合わせた。

「俺たちもまだまだ子供だな」
「だね、反省しないと…頑張ろー!」
「塚本先輩に怒られるか?」
「さっきのは確実でしょ。次からはこんなこと無いように反省を活かそうね」
「ああ、お互い気をつけあおうぜ」

拳を付き合わせて、笑う。
それから、慌ただしく会場を後にして、陵南対武里の試合を見に行った。



「…そういや、試合前の何だったんすか?」

1ゴール差で試合を終えた海南の控え室に声が響く。
首を傾げる清田に、高砂が苦笑しながら告げた。

「あの二人は、海南バスケ部だってことだ」

更に訳がわからなくなった、という表情を浮かべた彼に牧が眉を下げる。
高頭が微笑ましそうに、部員たちの様子を見つめた。

「氷雨ちゃんたちがちょっと攻撃的だったのは、わかった?」
「え、あ、最初っすよね?なんか、声が冷たいって感じではありました」
「そう、で、その行動が、俺たちの気持ちに水を差したから、二人は謝ったんだ」

試合に向けて高まってた気持ちが、冷たい声を聞いてどうだった?
続けられた言葉に、なるほど、と、頷いた清田。
そして、牧が諭すように続ける。

「だが、二人が思わず怒った理由はわかるか?」
「え?」
「二人が徹夜までして、湘北の情報をまとめたのはどうしてだ?」
「そりゃ、俺たちに勝って欲しいからでしょう?」
「だが、その俺たちが、知らなかったとは言え、二人の努力を踏みにじるようなことを言ってしまった」

ああ!と気がついたように、目を見開いた清田。
俺謝らないと!と叫んで慌てて立ち上がる。
その反応に武藤が笑いながら、大丈夫だ、と声をかける。
そちらを向いて、でも、と言募る清田に、首を左右に振ってみせた。

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