旦那 | ナノ



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海南vs湘北

決勝リーグに勝ち進んだ海南大付属高校。
6月20日がやってきた。

「…眠い、座ったら寝る、絶対寝る」
「落ち着けよ、白雲、俺だってそうだ」

橘くんと二人で欠伸をかみ殺しながら、控え室に向かう。
手には今日の朝までかかって纏めた、湘北の資料。
と、控え室の扉を開けた瞬間、ノブくんと宗くんのデータなんて要らない、という会話。

「…橘くん、やめてもいいかな」
「白雲、俺も今、そう思った」
「おお、白雲に橘、どうした?」

武藤さんにいわれて、にこり、と笑う。
隣の橘くんもかなりいい笑顔を浮かべていた。
声をかけてきた武藤さんが一歩後ろに下がる。

「いいえ、別に?ねえ、橘くん」
「ああ、折角徹夜までして湘北のデータ纏めたのに要らないっていわれたくらいだもんな。なあ、白雲?」
「そうよね、二人で今朝までの湘北のビデオを繰り返し見ただけだもんね」

若干とげとげしてるのは、許して欲しい。
本当に昨日寝ていないんだ。
それ以前から纏めてはいたものの、他の所も同時進行だったから、足りなかったと言っていい。
ただでさえ、1から纏めなきゃいけなかったんだから。
あはは、うふふ、と壊れた私たちを見て、高頭先生が、すまん、と呟いた。

「嘘ですよ、俺たちの力だって少しは役に立ってると思ってます」
「むしろ、私たちこそ、遅くなった上、八つ当たりしてすみません」
「一応相手の個人情報+癖は纏めておいたんで、参考にはなると思います」
「じゃあ、私たちは陵南の方にいかないと行けないので…失礼します」

今朝完成っていうのは遅かったから仕方ないよね。
ていうか、選手に悪影響を及ぼしてどうする、と二人で視線をあわせて落ち込んだ。
すぐに二人で頭を下げて、控え室を出ようとする、が引き止められた。
首を傾げれば、高頭先生が、お前らから発表しろ、と。
欠伸をかみ殺しながら頷いて、資料を捲る。

「基本的に、湘北はベンチが薄い、のが、一番の弱点です」
「で、実力的に高いのが4、7、11、14」
「注意するのは、10、多分初心者で、試合の度に伸びてる、今回も試合中に変化、するかも」

欠伸を堪えながら、橘くんと交互に先生にも伝わるように説明する。
資料は後で先生に渡すが、必要な部分は覚えておいてもらわないと。
大体のプレーの傾向を説明して、対策として考えられることを幾つか。

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