089
とりあえず、此処は、宝瓶宮のリビング?なのかな?
予想外に、宮によって作りが違うっぽくてびっくりしてるんだけど。
あれ?もしかして、生活区と仕事部屋の違いかな?
通路の右と左で違うらしい、って言うのは聞いたことあるよ。
でもね、私まだ、双魚宮にしか行ったことないから、わかんない。
まあ、とにかく、リビングっぽいところに通されて、座らされている。
それから、正面に嬉しそうにニコニコしているミロさんが座っている。
「ねぇ、氷雨ちゃん!」
「なんでしょうか?」
「氷雨ちゃんって、彼氏とか居るの?」
ツリ気味の目で、真っ直ぐ射抜くように見つめてくるミロさん。
苦笑して、首を左右に振る。
そういうミロさんはどうなんです?と笑顔で聞けば、ふい、と目を逸らされる。
…あれか、オトモダチパターンか、これ。
「氷雨、ミロ、待たせたな」
カミュさんが絶妙なタイミングで、食事をもってきてくれた。
見た感じ、バランスがいい食事だ。
ほ、と安心したように息を吐くミロさんを見て、聞かれたくない話題なら振らなきゃいいのに、と思わないでもない。
そのまま、沈黙の中、昼食が始まる。
ふと、このまま無言で居るのもな、と思い、ミロさんの隣に座ったカミュさんに声をかける。
「カミュさんは恋人とかいらっしゃるんですか?」
一瞬空気が固まった…。
え?これもしかして、アレ系?
あの腐女子に人気の、あのパターン?
…確かに、あり得なくはないのか、だって、二人は基本的に一緒に居る訳だし。
ミロさんの文字はカミュさんが解読してるんでしょう?
え、邪魔者じゃね、私。
これだけ閉鎖された空間なら、そういうこともあり得るよね。
しかたないよ、実は案外いけるんじゃないかなって思うこともあるさ。
と、一人納得して、二人を見比べてから、食事を始める。
おろおろとしているミロさんに、固まったままのカミュさん。
確か、此処は上から2番目だし、お昼だから、一人で上がれるかな?
うん、そうしよう。
「いないぞ」
そんなカミュさんの声が聞こえた気がしたが、思考の渦に飲まれていた私に気がつくことなどできるはずもない。
暫く無言になった後、他愛もない、氷河君の話で盛り上がった。