正義 | ナノ



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顔を見合わせて、笑う。
笑い声が聞こえたのか、シュラさんが顔を出した。
ついでにお皿も持ってきてくれる。
ありがとうございます、と笑ってから、皿を置いてもらった中から、小皿を見つけた。
それにじゃがいもをとってもらって、味見。

「ん…あ、一人一人お皿って分けた方がいいですかね?」
「いや、いいんじゃねーの?そういうの気にするタイプじゃねーし」
「ああ、俺も構わない」

デスとシュラさんに同意を貰ったので、1つのお皿に1つの料理、という形をとらせてもらうことにした。
ほとんど料理が終わった頃、ディーテさんが袋を抱えて、やって来る。
氷雨、と名を呼ばれて、はい?とそちらを見ると日本語表記の薬の数々。
…えっと、何処まで行ってきたのかな、この人。

「ほら、治療するよ?」
「いや、そんな大げさなものじゃ…」
「手出して?」

心配そうに見つめられて、そういわれれば素直に手を出すしかない。
ずっと冷やしていたからか、まだ、マシだろうと思われる状況になったそこを、丁寧に拭いてくれる。
が、擦れると痛い。
軽く下唇を噛むようにして、痛みを逃す。
丁寧に薬を塗ってくれたディーテさんはガーゼを宛てがって、それから包帯を巻いてくれた。

「弄ってはダメだよ?」
「…はい」

言い聞かせるようにいわれた言葉に頷いて、料理できたんですよ、と笑う。
じゃぁ、食事にしようか、と目を細めたディーテさんは二人に運んでくれるだろう?と聞いた。
肩をすくめたデスとそんな彼を小突いたシュラさんは連れ立って、キッチンに消える。
リビングに案内されて、綺麗に薔薇が飾られている様子に、溜息が溢れた。
完成されたこの場所で、和食…なんて思うが、それもそれでありだろう。
………多分。

用意されている椅子は5つ。
多分、私たちの分とシオンさまの分。
…え?あの食料5人分?
思わず、唖然としてしまった。
いや、まさか、だって…え?普通に大量だった、と思うんだけど。
ぽかん、としそうな口を抑えて、でも、誰も何も言わなかった、ということは、アレが通常なのだろうか。
聖闘士って、小宇宙使うから、燃費が悪い、のかな?
思わず首を傾げるが、デスとシュラさんは普通に料理を運んで来る。
手伝います、と駆け寄ろうとしたが、ディーテさんに笑顔で制された。

「氷雨は座ってて」

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