正義 | ナノ



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「へぇ、なかなかじゃねーか」
「御褒めに与り光栄至極」

棒読みで返して、視線を戻す。
アイオロスさんが、じっと、私を見てきた。
暫く、向こうが何か言ってくるかと黙っていたのだが、無言で見つめてくるだけなので、口を開く。

「…なんですか、アイオロスさん」

返事がない、ただのしk(ry。
…ごめんなさい。
アイオロスさんはじっと私を見て、それから、料理が出来るのか、と呟いた。
かなり溜めておいて、そんなことか、なんて思ったものの、にこり、笑って返す。

「たしなみ程度には」

たしなみ…とアイオロスさんが黙り込むと、隣から不健全な彼が声を漏らした。
にやにやと笑うその表情を、もっと真剣にしたら、更に良い男になれるだろうに…。
なんて勝手に思いながら、目線で何が言いたいのか、と軽く睨め付ける。
肩をすくめて、言った。

「たしなみって、レベルじゃねーけどな」
「…それは、褒めて頂いていると考えても?」
「まぁな、これならシュラも満足しただろうよ」

片頬だけを器用につり上げ、笑う彼に、何度か瞬く。
発言に気になるところがあったものの、どうせ、不眠症みたく、味に五月蝿いってことなんだろう。
ちら、とシュラさんを見れば、何とも言いがたい顔をしていた。
が、私と目が合うと小さく笑む。
吃驚して、真面目な顔をしているデスマスクさんの方へ視線を向けた。

「デスマスクさんはそうしていれば格好いいんですね」
「…そうしていれば、ってどういうことだ。俺はいつでも格好いいってーの」
「本来の生真面目なところも、出していいと思いますよ」

俺が真面目とか何言ってんだよ、的な台詞を期待して軽く笑う。
が、空気が固まっただけで、誰も何も言葉を発しない。
…え、滑った?何か反応して欲しかった。
なんて思っていると、シュラさんが何故、と首を傾げる。
何がどうして?と思いながら、鏡に向かうようにシュラさんの首の角度にあわせた。
困ったようにしたシュラさんが、声を発する。

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