正義 | ナノ



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「良い女の去り際は?決まってません?」
「…そういや、同じだな」

しみじみと顎辺りを撫でて、私と目をあわせて笑う。
それに何の意味がある、と思いながら、肩をすくめた。

「多分、『私がもっと強ければ、貴方について行けたのにね』みたいな感じじゃないかと思うんですが」

うーん、と首を傾げて、ちら、と目を見る。
と、驚いた表情、どうやら正解だったようだ。
にこり、笑って現実主義なんですよ、と告げた。

「いい男だけど、職業は知らない。好きだけれど、私がついて行ける人ではない。だからさよならする、ってことです」
「へぇ?」
「だって、実際、好きだからという理由だけで、ついって言ったらどうなるか、わからないでしょう?」

首を傾げる。

「愛を信じつつも愛だけじゃ生きていけない、と考えるのが女ですよ」
「それは男もそうじゃないか?」

きょとんと首を傾げるアイオロスさん。
三十路、なんだよね…。
信じられないなぁ、と思いながら肩をすくめた。

「さぁ?私は男じゃないので、わかりかねますが…一般的には男の人は夢が重要らしいですよ」
「夢、か…」

アイオロスさんが考え込んでしまった。
…え?私の所為?
しかし、と口を出してきたのはシオンさま。

「それと女が強い、というのはどういう関係があるのだ?」
「私の場合で言えば、ですが、現実は見ていたつもりです。だから、いい感情が抱かれないというのはわかっていました」
「覚悟が出来ていた、ということか?」
「まあ、そんな立派なものではなかったですけど」

軽く肩をすくめて、それで、私は昼食をとってもいいですか?と問う。
この場にいる黄金聖闘士がこくり、頷いた。
ありがとうございます、と一礼して、手を合わせて頂きます、と箸を手に持つ。
もぐもぐと食べ始めたのはいいが、見られている。
凄い見られている、ガン見といっても過言ではないと思う。
仕方なく、口に入れたおかずを飲み込んで口を開いた。

「……なんですか、」

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