正義 | ナノ



037
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「ありがとうございます」
「何のことだい?」
「ディーテさんの美しすぎる微笑で倒れることが無いですから」

とぼけられたので、軽く返す。
ディーテさんがキョトンとしたように感じる。
いや、ほんと、目悪くて…全然見えないんだよねぇ…。
ある程度乱視もはいってるから、30cmくらいからはもうぼやけちゃうんだよね。
なんて思ってると、ディーテさんがちょっとしゃがんで目線をあわせてくれる。

「どれくらいの距離なら私の顔がしっかり見えるの?」
「え?近づけってことです?」
「うん」

いや、うんって、うんって、可愛いけど、でも、如何かと思うよ。
困り、気がつくと視線が下がっていた。
ふと、目をあげる。

「!?」
「あ、気がついた?」

にこにこ、綺麗に笑う彼に後ずさる。
思いっきり顔を逸らして、数回瞬いた。
気持ちを落ち着かせて、彼の頭に手を乗せる。

「ふわふわですね、…彼とは違って……?」

ふと、口をついて出た言葉に首を傾げた。
彼って誰だ?なんか、すごくディーテさんに似てる人を知っている気がするんだが…。
でもなぁ…LC?でも、髪なんか触ってないし、触れる訳も無いし。

「どうかしたの?」

不審そうに眉を寄せるディーテさんに首を振る。

「いえ、何でもありません」
「む、誰かと私を比べたのに?」
「ふふ、すいません、瞬君と比べると柔らかかったので」

にこにこ、笑う。
彼は少し拗ねたように目をそらした。
可愛いなぁ、ともう1度撫でて、眼鏡を返してもらう。

「ディーテさんの髪質、素敵だと思いますよ」

眼鏡をかけて、周りを見る。
サガさんが、未だにorzのままだ。
いやいや、どんだけ時間経ったと思ってんだよ。
ちなみに、おもちゃは誰かが片付けてくれたらしい、無くなっている。
サガさんに近づき、近くにしゃがみ込む。

「サガさん?」
「………」
「サガさん!」
「、あ、ああ、何だ?」
「何がそんなにショックなのですか?」
「そ、れは」

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