035
え、何これ、私が悪いの?
すっごいしょぼんってしてるんだけど…。
「カミュさん、明日のお昼は暇ですか?」
「?」
「夜は無理ですが、明日のお昼なら」
「ああ!是非!!」
時間があります。を言う前に彼は嬉しそうに頷いた。
可愛いなぁ…なんて思ったりしたのだが、まぁ、気にしないでおこう。
それ以上に、彼の笑顔が破壊力抜群すぎて辛い。
思わず息が詰まってしまった…。
ちょっと疑ってしまったことが申し訳ないと思う程の笑顔でした。
ふと思い出して、席に着いているサガさん(?)とカノンさんをじっと見る。
近くにいるのは、やはり、カノンさんだと思うので、サガさんに声をかけた。
「サガさん、あ、やっぱりカノンさん」
「なんだ?やっぱり俺って、」
いや、サガさんは危険かと思って。
なんて言えずに、まだ書類をご覧になられているようなので。
と、返しておき、あー、と言葉を濁す。
「何だ?」
「いや、本は渡して、皆さんで持ち主探してもらえばいいかと思ったんですけど…」
「本、ってこれのことか?」
「ええ。流石に私が、『これはどなたの持ち物ですか』と聞くより、カノンさんにして頂いた方が皆さんもマシな心持ちかと」
にこり、笑えば、カノンさんはそれはそうだろうが…と頭をかく。
その横のデスマスクさんが、カノンさんの手のうちにある本を抜き取った。
ちらり、見えたそれに苦笑する。
「これ、無くしたと思ってた奴じゃねーか!」
「ああ、デスマスクさんのでしたか。多分、カノンさんに渡したものの中にまだあるかもしれないですよ」
「つーか、恥ずかしくねえのか?」
「別に、自分がそうしてる訳でもないですから。それに、知ってます?女って、裏側には、詳しいんですよ?」
ふふ、口元に手を当て、挑発するように笑ってみせた。
私の言った一言が衝撃だったのか、固まっている。
その様子に、女の人になれていそうなのになーと首を傾げるも、まあいいか、と自分を納得させた。
きっと、かっこいい彼らに、そんな下衆い話をして呆れられたくなかったんだろうなー。
別に私は呆れられようが、仕事して3ヶ月でお別れだからいいんだけど。
「そう、それで、本よりも始末が悪いものが出て来て遠い目をしてるときに、カノンさんがノックしてくださったんです」
「本よりも始末が悪いものって…」