正義 | ナノ



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「んー、やっぱりみたらしかな?」

材料を見て、うん、と一人納得して、準備だけ先にしておく。
ある程度進めておいて、帰ってきたら仕上げをすればいいし、リアをあまり待たせても申し訳ない。
出かけられるように支度を済ませて、もう一度執務室に戻った。

「氷雨、準備はいいか?」
「はい、お願いします」

頷いてから、シャカさんに視線を向ける。
シャカさんはこちらを見て、何時だ?と首を傾げた。
うん、多分それ聞かれると思ったんだ、とりあえず今の時間からお買い物に行って、仕上げをしたとしても…。

「3時には」
「うむ、では3時に君の部屋へ迎えに行く」
「…いや、俺が送ろう」

部屋まで送ったついでだ、とリアの言葉にどうしたものかと首をかしげる。
リアに頼んでもいいが、シャカさんにお願いしても問題はないだろう。
正直どっちでもいいんだけど、どうしようかな。
これ、私が口出すべき案件かなー?そういうの苦手なんだけど…。
困ったと眉を下げたまま二人を見やる。
そんな状況に気がついたのか、サガさんがため息をひとつ。

「氷雨、私が送っていこうか」
「え、あ、」

いま求めているのはそれじゃなかった。
…いや、善意で言ってくれているのはわかるのだが、と、思っていれば、リアがぐるり、とこちらを見る。
すまなかった、と私を抱き上げて、シャカさんに後にする、とだけ言い放って、執務室を出た。
肩をすくめていたシャカさんは了承したということだろうか。
そのまま十二宮を駆け下りて、聖域を出て、街へと向かう。
街の様子は何も変わらない。

「どこに行くつもりだ?」
「まずは食料品かな?」

他に必要な生活必需品は何かあっただろうか。
使い切ってしまったものはなかったはずだし、ソープ系もまだまだ問題ない。
ボディーソープに至ってはいつものやつを必要以上に持ってきているから心配する必要もゼロだ。
とりあえず、一緒にお店に行ってもらう。
カートを押してくれるリアを隣に、新鮮な野菜やパスタなど、様々なものをカゴに入れる。

「いつもこんなに?」
「ええ、まあ」

小さく笑えば、リアは感心したようにカゴの中のものを見た。
ふと通り過ぎた老夫婦が、仲の良いご夫婦ねぇ、と穏やかに笑う。
え、と一瞬思考が止まる。
私たち、のことではないだろうな?
二人の視線は明らかに私とリアに向いていたのだが。

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