正義 | ナノ


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朝、カミュと仮眠室で勉強をしてから、仕事をしていてふと気がついた。
明日お弁当を作る約束をしていたような気がするが、食材が足りない。
まずい、と動きを止める。
ちらりと執務室内で視線を走らせた。
ミロさんがいれば彼に頼もうと思ったのだが…いない。
困った、と思いながら今日は執務室にいない年中組に頼むべきだろうか、と算段をつける。
階段を頑張って双魚宮まで降りれば、なんとかなるはずだ。

「氷雨…?何か困ったことが?」
「あ、リア…その、昨日で食材がなくなってしまったことを思い出して…」
「ああ、なら、俺でもいいだろうか」

リアが笑いながら告げる。
突然の申し出にびっくりしながら考えた。
確かに誰かに協力してもらわなくてはどうにもならないのだし、いつも年中組に頼るわけにもいかないだろう。
リアが申し出た、ということは、彼が仕事を放っておく性格でもないことから、手伝っても問題ない、と判断してくれているのだ。
よし、と決めて笑う。

「お願いしてもいいですか?」
「ああ、すぐに行くのか?」
「準備ができたら…なるべく早く行きたいとは思っています」
「わかった」

じゃあ、君の準備が終わったらまた声をかけてくれ。
そう男らしく笑ったリアに、ありがとうと頭を下げてから仕事と荷物をまとめる。
部屋に帰る準備をしていれば、ふ、と珍しく執務をしていたシャカさんが声を発した。
なんだろう、とそちらを見れば、伏せられている目が私をまっすぐ見ているのがわかる。

「お茶の準備をしておく」
「…え?」
「以前、約束したはずだろう?」
「あ、ああ…わかりました。そのための材料もこれから買ってくるのでしばらくお待ちくださいね」
「うむ」

そういえば、前金牛宮でシャカさんとアルとムウさんと貴鬼君とご飯を食べた時にそんな話をしたな。
いや、そのご飯の後に送ってもらった時だったか。
どんなお菓子を作ればいいのか、と頭の中でレシピを考える。
それほど時間のかからないものにしなくてはならないだろう。
やばい正直面倒かもしれない…いや、約束したのだしちゃんとするけれど。
確か白玉粉あった気がするし、和風な感じのもの作ってみようかな。
まだお昼前だから…なんとかなりそう、お茶ってことはおやつの時間でいいだろう。
でも、早めに準備しておいた方が面倒が少なそうだ。
…そうだ、お茶だし、みたらし団子なんてどうだろうか。
冷やしておけば問題ないものでもある。
よし、と決めて、自分の部屋へと戻った。

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