正義 | ナノ



204
しおりを挟む


私みたいに、後で確実にいなくなり、後腐れのなくなるような、そんな相手じゃないと。
さて、と教皇室を出て、執務室に向かう。
…が、法衣を着たカノンさんがいて、サガさんがいない。

「おはようございます、カノンさん。サガさんはどこです?」
「…気がつくのが早すぎないか?」
「あら、見つけて欲しいと言ったのはカノンさんでしょう?…ああ、そうか」

一つため息をついて、どうしたものか、と眉を寄せる。
とりあえず、今日の仕事は?と問いかけて渡されたそれをパラパラと見やった。

「これなら明日でも大丈夫そうですね。失礼しますが、本日、私休みます」
「は?」
「“あなた”を見つけなくてはいけませんから」

にこり、笑って小宇宙がわからない私はサガさんがどこへ行っていても、足で探すしかない。
しかも付け加えるならば、サガさんが普段よくいる執務室にはいない。
私は一般人で、サガさんは黄金聖闘士で。
とりあえず、一番の近場から探そうと、仮眠室の扉を開いた。
足を踏み入れて、一通り布団を引っぺがしながら確認。
いないと判断して、扉を閉める。
執務室からつながる小さな書庫の扉も開く。
ぐるぐると歩き回り、隅々まで見るが、見当たらない。
執務室から出る前にふと気がついて、振り返る。

「リア、多分明日あたりには、あなたの相談に乗れるはずですから、もう少しだけ待っていてくださいね」
「えっ」
「あ、カノンさん、後でカノンさんともお話がありますので、執務室にてお待ちください」

にっこり、笑ってから一歩足を踏み出して扉を閉める。
どのへんにいるかなー?と首を傾げながら、資料室やアテナの間、私の部屋を見てみる。
教皇室周辺にも一応行ってみて、ウロウロとしてみる。
多分だけれど、彼は下に行くことはない。
私が見つけられる位置に、彼はいるはずだ。
…ここから行ける場所とすれば、あとはアテナの小宇宙で満ちているというその場所。
確かこっちだったな、と二度だけ通った道を必死に思い出しながら向かう。
何度か迷いながら、やっとついたその場所。
見渡した限りはいない、のだが、石畳…といえばいいのだろうか、その一部が外されている。
その下には隠されたような扉がある。
持ち手に手をかけて全力で持ち上げて、それでも力が足りないのか、開かない。

「悔しすぎる…梃子の原理使うか」

[前へ]/[次へ]


※かなり好みの分かれる捏造が入りますので、ご注意ください
 もし、あわないと思った場合、読むのをやめることを推奨いたします
[ back to menu ][ back to main ]
[ 番外編に戻る ][ 携帯用一覧へ ]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -